編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Schwartz AV, Vittinghoff E, Bauer DC, Hillier TA, Strotmeyer ES, Ensrud KE, Donaldson MG, Cauley JA, Harris TB, Koster A, et al.; Study of Osteoporotic Fractures (SOF) Research Group Osteoporotic Fractures in Men (MrOS) Research Group Health, Aging, and Body Composition (Health ABC) Research Group : Association of BMD and FRAX score with risk of fracture in older adults with type 2 diabetes. JAMA. 2011; 305: 2184-92. [PubMed]

2型糖尿病患者では骨密度は高いが,奇妙なことに骨折のリスクが高いことが知られている。今回の3つの試験の統合解析は,高齢の2型糖尿病患者で大腿骨頸部の骨密度のT scoreが低いほど,FRAX scoreが高いほど,大腿骨頸部骨折と非脊椎骨の骨折が高いことを明確に示した初めての知見である。T scoreあるいはFRAX scoreは,糖尿病の有無に関わらず骨折の予測因子となり,T scoreあるいはFRAX scoreが同等であっても,糖尿病患者では非糖尿病患者より骨折のリスクが高いことが示された。FRAX scoreは高齢者の骨折の絶対リスクを予測するためのものであるが,糖尿病はこのアルゴリズムには含まれていない。そのため,現状のアルゴリズムで求められたFRAX scoreは糖尿病患者の骨折リスクを過小評価する可能性があるので注意をすべきである。
チアゾリジン系のインスリン抵抗性改善薬が,女性の,そしておそらく男性の2型糖尿病患者で骨折のリスクを高めることが明らかにされつつあるが,今回の検討では症例数が不十分である。インスリンの使用の有無と骨折との関連は,女性ではインスリンの使用の有無に関わらず,非糖尿病患者より骨折のリスクが高かったが,男性ではインスリンを使用していない糖尿病患者では非脊椎骨の骨折リスクが高くなかった。これは,男性では骨喪失のスピードが速くないためかもしれない。【片山茂裕

●目的 高齢の2型糖尿病患者において,大腿骨頸部骨密度のT scoreと世界保健機関(WHO)の骨折リスクアルゴリズムFRAX scoreが,大腿骨頸部骨折と非脊椎骨折のリスクと関連しているかを検討した。
●デザイン 3つの観察研究の統合解析。
●試験期間 平均追跡期間は女性12.6年,男性7.5年。
●対象患者 16,885例:女性9,449例,男性7,436例。
●方法 骨折のアウトカムが判定された米国の3つの前向き観察研究(Study of Osteoporotic Fractures,Osteoporotic Fractures in Men Study,Health ABC Study)に参加した高齢患者について解析。アウトカムは放射線検査によって確認された,自己申告の偶発的な骨折。インスリン使用によって結果を層別化した。
FRAX scoreにHealth ABC Stucyの結果は含まれていない。
Study of Osteoporotic Fractures:高齢の白人女性9,704例を対象とし,骨折のリスク因子の同定を目的とした米国縦断研究。ベースライン時期は1986~1987年。本研究では1988年12月~2008年6月に発生した骨折のみを解析対象とした。
Osteoporotic Fractures in Med Study:高齢男性5,995例を対象とし,骨折のリスク因子の同定を目的とした米国縦断研究。本研究では2000年3月~2009年3月に発生した骨折のみを解析対象とした。
Health ABC Study:70~79歳の3,075例(白人50%,黒人50%)を対象とし,身体のエネルギー消費と身体機能の変化の評価を目的とした米国の縦断研究。本研究では1997年4月~2007年6月に発生した骨折を解析対象とした。
T score:third National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES III)での性別,人種別の若年基準値を用いて算出。
FRAX score:大腿骨頸部骨密度のT score,年齢,性別,BMI,骨折歴,両親の大腿骨頸部骨折歴,喫煙・最近のコルチコステロイドの使用・関節リウマチ・1日3単位以上のアルコール摂取の有無のアルゴリズムにより算出。
●結果 770例の女性糖尿病患者のうち,84例に大腿骨頸部骨折が発生し,262例に非脊椎骨折が発生した。男性糖尿病患者では,1,199例のうち32例に大腿骨頸部骨折が発生し,133例に非脊椎骨折が発症した。大腿骨頸部骨密度T scoreの1-unit decreaseに関して年齢調整したハザード比は,女性糖尿病患者の大腿骨頸部骨折では1.88(95%CI, 1.43-2.48),非脊椎骨折では1.52(95%CI, 1.31-1.75)であった。また,男性糖尿病患者の大腿骨頸部骨折では5.71(95%CI, 3.42-9.53),非脊椎骨折では2.17(95%CI, 1.75-2.69)であった。
FRAX scoreも糖尿病患者の骨折リスクと関連していた。大腿骨頸部骨折FRAX scoreの1-unit increaseに関するハザード比は,女性糖尿病患者で1.05(95%CI 1.03-1.07)であり,男性糖尿病患者で1.16(95%CI, 1.07-1.27)であった。骨粗鬆症性骨折FRAX scoreの1-unit increaseに関するハザード比は,女性糖尿病患者で1.04(95%CI 1.02-1.05)であり,男性糖尿病患者で1.09(95%CI 1.04-1.14)であった。
しかし,T scoreと年齢,またはFRAX scoreをみると,糖尿病患者は非糖尿病患者よりも骨折のリスクは高く,糖尿病患者のT scoreは非糖尿病患者よりも高かった。糖尿病患者と非糖尿病患者での大腿骨頸部骨折T scoreの推定平均値差は,女性で0.59(95%CI 0.31-0.87),男性で0.38(95%CI 0.09-0.66)であった。
●結論 高齢の2型糖尿病患者では,大腿骨頸部骨密度のT scoreとFRAX scoreは大腿骨頸部骨折と非脊椎骨折のリスクと関連していた。しかし, T scoreと年齢,またはFRAX scoreみると,非糖尿病患者と比較して糖尿病患者の骨折リスクは高かった。