編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lewis JD, Ferrara A, Peng T, Hedderson M, Bilker WB, Quesenberry CP Jr, Vaughn DJ, Nessel L, Selby J, Strom BL: Risk of bladder cancer among diabetic patients treated with pioglitazone: interim report of a longitudinal cohort study. Diabetes Care. 2011; 34: 916-22. [PubMed]

pioglitazoneによる治療が膀胱癌の発生リスクを高めるのではないかとする議論が生じたのは記憶に新しい。pioglitazoneかプラセボを投与したPROactive試験では,有意差には至らなかったものの,pioglitazone群で膀胱癌の発生リスクが高かった。本検討は,2003年にFDAから同薬の製造企業に要求されていた試験の中間解析である。本検討では,短期間のpioglitazoneの使用は膀胱癌の発生リスクを高めないが,2年以上の使用はそのリスクを高めた。
同薬は,フランスでは新規処方が禁止とされており,米国とわが国では治療中の膀胱癌の患者への投与は避け,一般には投与開始前に患者へ十分な説明を行ったうえで,定期的に尿検査で観察しながら投与を続けるとされている。【片山茂裕

●目的 糖尿病患者において,pioglitazone(インスリン抵抗性改善薬)治療による膀胱癌リスクを検討した(中間解析)。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は1997年1月1日~2002年12月31日。2008年4月30日追跡終了。追跡期間(中央値)は,pioglitazone非使用患者は6.2年,使用患者は9.3年。
●対象患者 193,099例:≧40歳の糖尿病患者。pioglitazone使用患者30,173例,非使用患者162,926例。
除外基準:膀胱癌の既往。
●方法 糖尿病治療薬使用歴を時間依存変数とし,Cox回帰モデルを用いて,pioglitazone非使用患者と比較した場合のpioglitazone使用患者の膀胱癌のハザード比(HR)を算出(年齢,性別,人種/民族,糖尿病治療,HbA1c値,心不全,世帯収入,腎機能,他の膀胱疾患,喫煙を調整)。
●結果 追跡期間の膀胱癌の発生は,pioglitazone使用患者90例,非使用患者791例であった(81.5 vs 68.8件/10万人-年;HR 1.2,95%CI 0.9-1.5)。pioglitazone使用患者における膀胱癌リスクに,男女差は認めなかった(p=0.8)。一方,pioglitazone使用期間が>24ヵ月の患者では,膀胱癌リスクが上昇した(HR 1.4,95%CI 1.03-2.0)。pioglitazone使用患者で認められた膀胱癌の95%は早期であった。
●結論 糖尿病患者において,短期間のpioglitazone使用による膀胱癌リスクの上昇は認めなかったが,2年以上の使用は膀胱癌リスク上昇とわずかな関連があった。