編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Johnson JA, Bowker SL, Richardson K, Marra CA: Time-varying incidence of cancer after the onset of type 2 diabetes: evidence of potential detection bias. Diabetologia. 2011; 54: 2263-71. [PubMed]

37万人という大きなデータベースに基づいて,新規に診断された2型糖尿病とがんの関係を明らかにした研究である。検出バイアスによるものであるが,2型糖尿病の診断後3ヵ月以内のがんの検出リスクが著しく高く,糖尿病とがんの関係を論じるには糖尿病の診断時期を考慮する必要性を示している。また,本研究では否定されているが,膵がんや肝がんについては,因果の逆転は常に念頭に置かなければならない。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,糖尿病発症後の追跡期間における各測定時で,特定部位のがんのリスクを検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 1994年4月~2006年3月。2006年3月31日,死亡時,またはカナダのブリティッシュコロンビア州から退去した時点で追跡を終了。
●対象患者 370200例:British Columbia Linked Databaseのデータ。糖尿病患者185100例,非糖尿病患者185100例。平均年齢60.7歳。男性54%。
●方法 British Columbia Linked Health Databasesを使用して,年齢,性別,index yearが一致した糖尿病コホートと非糖尿病コホートを同定。両コホートでIndex dateの前に最小2年間のがんwashout期間を設け,最初に発生した特定部位がんをプロスペクティブに同定した。
●結果 糖尿病発症後3カ月以内に,糖尿病患者では結腸直腸がん,肺がん,肝臓がん,子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん,膵がん,前立腺がんのリスクが有意に上昇した。3ヵ月後も,非糖尿病患者と比較して,糖尿病患者では直腸結腸がん(ハザード比[HR]1.15,95%CI 1.05-1.25,P=0.002),肝臓がん(HR 2.53,95%CI 1.93-3.31,P<0.0001),子宮体がん(HR 1.58,95%CI 1.28-1.94,P<0.0001)のリスクは有意に上昇していた。糖尿病コホートでは,後年になっても膵がんのリスクは上昇していたが,期間により異なるパターンを示した:3ヵ月~1年でHR 3.71(95%CI 2.55-5.39,P<0.0001),1~2年でHR 2.94(95%CI 2.00-4.33,P<0.0001),2~3年でHR 1.78(95%CI 1.14-2.77,P=0.01),3~10年でHR 1.65(95%CI 1.28-2.13,P=0.0001)。男性2型糖尿病患者では,前立腺がんのリスクが最初の3ヵ月で上昇したが,その後は低下した(HR 0.82,95%CI 0.76-0.88,P<0.0001)。
●結論 2型糖尿病患者では,特定部位のがんのリスクが上昇した。とくに糖尿病発症時にリスクが上昇しているが,これはおそらく糖尿病と診断された際にがんが多く検出された検出バイアスによるものである。