編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Katayama S, Moriya T, Tanaka S, Tanaka S, Yajima Y, Sone H, Iimuro S, Ohashi Y, Akanuma Y, Yamada N; Japan Diabetes Complications Study Group: Low transition rate from normo- and low microalbuminuria to proteinuria in Japanese type 2 diabetic individuals: the Japan Diabetes Complications Study (JDCS). Diabetologia. 2011; 54: 1025-31. [PubMed]

Japan Diabetes Complications Study(JDCS)研究の糖尿病腎症の解析結果である。2型糖尿病の患者にわが国の現状の血糖・血圧管理を行えば,正常アルブミン尿および軽度な微量アルブミン尿(尿アルブミン/クレアチニン<150mg/g・cre)から腎症(蛋白尿)の発症は0.67%/年という低値であった。UKPDSでの年間進展率は,正常アルブミン尿から微量アルブミン尿へ2.0%,微量アルブミン尿から蛋白尿へ2.8%と報告されていることと比較すると,いかに低値であるかがわかる。また,腎症への進展へのリスク因子は,当初のアルブミン尿,HbA1c,収縮期血圧,喫煙の4つであることが再確認された。
この結果は,増え続けている糖尿病患者の全例が早期に医療機関を受診してアルブミン尿を測定し,正常アルブミン尿か微量アルブミン尿の軽度な時期に治療を始めれば,蛋白尿への進行が減り,ひいては腎不全・血液透析に移行する患者が減ることを期待させる。糖尿病腎症の治療は,いまや寛解や退縮を目指し,さらに早期から治療を開始して糖尿病腎症の発症そのものを予防する時代になってきたといえる。糖尿病腎症により血液透析に導入される患者数が減り始める日が一日も早く来るのを期待したい。【片山茂裕

●目的 日本人の2型糖尿病患者において,正常および軽度な微量アルブミン尿から糖尿病腎症への移行率および関連因子を検討した。
●デザイン コホート,多施設(日本,59施設),プロスペクティブ。
●試験期間 追跡期間は8年。
●対象患者 1558例:JDCSの参加者(日本人の2型糖尿病患者2033例,40~70歳,HbA1c値>6.5%)のうち,尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)<150mg/gで,顕微鏡的血尿または腎疾患の臨床的徴候を認めない例。平均58.5±6.9歳。
●方法 JDCSでは,強化生活習慣介入群,従来療法群に無作為割付け。
本解析では,UACRを1年に2回評価し,正常アルブミン尿(UACR<30mg/g)または軽度な微量アルブミン尿(UACR 30~150mg/g)から腎症(UACR>300mg/g)発生への移行およびそのリスク因子を検討。
●結果 追跡期間の腎症の発生は74例(4.8%)であった。腎症への年間移行率は0.67%で,軽度な微量アルブミン尿例で正常アルブミン尿例よりも有意に高かった(1.85% vs 0.23%;軽度な微量アルブミン尿例のハザード比8.45,p<0.01)。
HbA1c値<7.0%に対する腎症発生のハザード比は,HbA1c値7~9%で2.72,≧9%で5.81であった(いずれもp<0.01)。収縮期血圧(SBP)値<120mmHgに対する腎症発生のハザード比は,SBP値120~140mmHgで2.31(p=0.06),≧140mmHgで3.54(p<0.01)であった。喫煙は腎症への進展の有意なリスク因子であった(ハザード比1.99,p<0.01)。その一方で,30.3%の患者が,軽度な微量アルブミン尿から正常アルブミン尿へ回復した。
●結論 日本人の2型糖尿病患者において,腎症への進展は,ベースラインのUACR高値に加え,ベースラインのHbA1c高値およびSBP高値と独立して相関を認めた。また,喫煙は腎症の有意な予測因子であった。