編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wotton CJ, Yeates DG, Goldacre MJ: Cancer in patients admitted to hospital with diabetes mellitus aged 30 years and over: record linkage studies. Diabetologia. 2011; 54: 527-34. [PubMed]

糖尿病においてがんリスクが上昇することが多くの疫学研究から示唆されているが,それを否定するようなデータも多い。
本研究では,糖尿病とがんリスクの有意な関係は検出できなかった。しかし,多くの研究で示唆されているように,肝がん,膵がん,子宮がんに関しては糖尿病患者で発症率の上昇,前立腺がんに関しては低下が認められた。【綿田裕孝

●目的 30歳以上の糖尿病入院患者におけるがんリスクについて検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 1963~2008年。
●対象患者 484356例:イギリス南部で実施されたOxford Record Linkage Study(1963~1998年のORLS1,1999~2008年のORLS2)の参加者。糖尿病患者23669例(ORLS1:15898例,ORLS2:7771例),非糖尿病患者460687例(ORLS1:275564例,ORLS2:185123例)。
登録基準:がんによる入院でなく,また過去にがんによる入院歴もないこと。
●方法 ORLS1,ORLS2について,それぞれの入院と死亡率の統計学的データセットを解析。糖尿病コホートと参照コホートのがん発生率を比較し,比率として算出。
●結果 糖尿病入院患者におけるすべてのがん発生比率は,ORLS1では1.01(95%CI 0.95-1.06),ORLS2では1.09(95%CI 1.00-1.19)であった。ORLS1,ORLS2ともに,以下の部位のがんで有意に高い発生比率が認められた:肝臓がん(2.0[95%CI 1.4-2.9,P<0.001],2.5[95%CI 1.3-4.3,P=0.002]),膵がん(2.2[95%CI 1.8-2.7,P<0.001],3.5[95%CI 2.5-4.8,P<0.001]),子宮がん(1.5[95%CI 1.0-2.2,P=0.02],2.6[95%CI 1.4-4.5,P=0.001])。前立腺がん(0.6[95%CI 0.5-0.7,P<0.001],0.7[95%CI 0.5-0.9,P=0.006])と非黒色腫皮膚癌(0.6[95%CI 0.5-0.8,P<0.001],0.8[95%CI 0.6-0.96,P=0.02])では,発生比率が有意に低下した。
●結論 糖尿病はある特定の部位のがんではリスク上昇,別の部位のがんではリスク低下と関連していた。糖尿病におけるすべてのがんリスクを考慮しても,おそらくリスク上昇は小さく,また他に知られている糖尿病の合併症と比較して数値的に重要ではない。