編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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de Boer IH, Sun W, Cleary PA, Lachin JM, Molitch ME, Steffes MWZinman B, ; DCCT/EDIC Research Group: Intensive diabetes therapy and glomerular filtration rate in type 1 diabetes. N Engl J Med. 2011; 365: 2366-76. [PubMed]

DCCT/EDICで,1型糖尿病患者における強化インスリン療法群(HbA1c 7.4%)が従来療法群(HbA1c 9.1%)に比べて腎症や網膜症などの細小血管障害の進行を抑制する,あるいは発症を予防することは,すでに報告されている。従来の報告では,アルブミン尿に基づいて腎症の進展・予防が検証されている。ちなみに1993年のDCCTの報告では,微量アルブミン尿(>40mg/日)およびアルブミン尿(>300mg/日)の発症リスクがそれぞれ39%,54%低下した。今回のDCCT/EDICの6.5年/16年におよぶ検討では,CKD-EPI式による推定GFRを求め,60mL/min/1.73m²未満にGFRが低下する率と,推定GFRの絶対値の低下量を検討した貴重な報告である。
本検討では,1型糖尿病発症早期からの強化インスリン療法は,従来療法に比べて,GFRの低下率を50%減少させた。また,強化インスリン療法は従来療法に比べて,DCCT開始直後はGFRを減少させたが,EDIC期間中のGFRの低下速度は緩徐となり,最終的には2.5mL/min/1.73m²大となった。これらの結果は,腎機能についても,早期の厳格な血糖コントロールが,後にいわゆる“metabolic memory”を発揮することを示した重要な報告である。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,強化インスリン療法の糸球体濾過量(GFR)低下の予防効果を検討した。
●デザイン DCCTは無作為,多施設。EDICは観察研究。
●試験期間 追跡期間は平均22年。DCCTの追跡期間は平均6.5年(登録期間は1983~1989年),EDICの追跡期間は16年(2008年9月~2010年4月終了)。
●対象患者 1375例:DCCTの参加者(1型糖尿病患者1441例,13~39歳)のうち,DCCTを完了し,EDICへの参加を承諾した生存例。
登録基準:一次予防コホートは,罹病期間1~5年,アルブミン排泄率≦40mg/24時間,網膜症なし。二次予防コホートは,罹病期間1~15年,アルブミン排泄率≦200mg/24時間,片眼に微細動脈瘤あり。両コホートともに,血清クレアチニン値<1.2mg/dL,クレアチニンクリアランス>100mL/分/1.73m²。
●方法 ・DCCT:強化インスリン療法群と従来療法群に無作為割付け。強化インスリン療法群では,1日3回以上のインスリン注射またはインスリンポンプを実施(目標HbA1c値は<6.05%)。従来療法群では,1日1~2回のインスリン注射を実施。
・EDIC:DCCT終了後,両群ともに強化インスリン治療を実施。
・DCCT,EDICともに,血清クレアチニン値を毎年評価。慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)式を用いて推定GFRを算出。
・GFR低下は,2回の連続した推定GFR<60mL/分/1.73m²と定義。
●結果 追跡期間のGFR低下の発生は,強化インスリン療法群24例,従来療法群46例(強化インスリン療法群におけるリスク低下は50%,95%CI 18~69,p=0.006)。HbA1c値およびアルブミン排泄率を調整後は,有意差が消失。
末期腎疾患の発生は,強化インスリン療法群8例,従来療法群16例(強化インスリン療法群におけるリスク低下は51%,95%CI -14~79,p=0.10)。強化インスリン療法群では,従来療法群に比し,DCCT中の平均推定GFRが1.7mL/分/1.73m²が低下したが(p<0.001),EDIC中にはGFRの低下は緩徐となり,従来療法群より2.5mL/分/1.73m²上昇した(p<0.001)。
●結論 1型糖尿病患者において,早期に強化インスリン療法を行った患者では,従来療法を行った患者より,長期のGFR低下リスクが有意に低下した。