編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Saito Y, Morimoto T, Ogawa H, Nakayama M, Uemura S, Doi N, Jinnouchi H, Waki M, Soejima H, Sugiyama S, et al.; Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis With Aspirin for Diabetes Trial Investigators : Low-dose aspirin therapy in patients with type 2 diabetes and reduced glomerular filtration rate: subanalysis from the JPAD trial. Diabetes Care. 2011; 34: 280-5. [PubMed]

米国糖尿病学会(ADA)/米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)のPosition Statement(Diabetes Care. 2010;33:1395-402)では,低用量のaspirin(75~162 mg/日)の使用は,心血管疾患の既往歴がない糖尿病患者でも,心血管疾患のリスクが高く,出血のリスクがなければ合理的とされ,心血管疾患のリスクが低ければ進められないとしている。
このPosition StatementのメタアナリシスにもJPAD試験は引用されているが,今回はeGFR別にaspirinの有用性を検討した。eGFR>90,60~89,<60 mL/分/1.73²で層別すると,60~89 mL/分/1.73²の群でのみ一次エンドポイントがHR 0.57(p<0.011)と減少した。この群をさらに年齢で層別すると,65歳以上ではHR 0.48(p=0.007)とさらに有効であった。eGFRは,aspirinによる心血管疾患の一次予防を考える際のリスク因子として有用であることが示されたといえる。【片山茂裕

●目的 腎機能障害を認める日本人の2型糖尿病患者において,動脈硬化イベントの一次予防における低用量aspirinの有効性を検討した(JPADのサブ解析)。
一次エンドポイントは,動脈硬化イベント(突然死,冠動脈・脳血管・大動脈に起因する死亡,非致死的急性心筋梗塞,不安定狭心症,労作性狭心症の新規発症,非致死的虚血性および出血性脳卒中,一過性虚血発作,非致死的大動脈および末梢血管疾患[閉塞性動脈硬化症,大動脈解離,腸間膜動脈血栓症])。
●デザイン 無作為,プロスペクティブ,オープンラベル。
●試験期間 追跡期間は4.37年(中央値)。
●対象患者 2,523例:JPADの参加者(動脈硬化疾患を認めない日本人の2型糖尿病患者2,539例,30~85歳)のうち,血清クレアチニン測定を行った患者。
●方法 JPAD試験では,患者をaspirin(81mg/日または100mg/日)群,非aspirin群に無作為割付け。
本解析では,腎機能と動脈硬化イベントの相関,正常または腎機能低下患者におけるaspirinの効果を検討。
●結果 ベースラインの推定糸球体濾過率(eGFR)が60~89mL/分/1.73m²であった患者(1,373例)では,aspirinにより一次エンドポイントの発生が有意に減少した(aspirin群30/661例,非aspirin群55/712例;ハザード比0.57,95%CI 0.36-0.88,p=0.011)。aspirinの一次エンドポイント発生低減効果は,eGFR≧90mL/分/1.73m²の患者(aspirin群9/248例,非aspirin群11/270例;ハザード比0.94,95%CI 0.38-2.27,p=0.89),eGFR<60mL/分/1.73m²の患者(aspirin群29/342例,非aspirin群19/290例;ハザード比1.34,95%CI 0.76-2.42,p=0.32)では認められなかった。
Cox比例ハザードモデルでは,軽度腎機能障害(eGFR 60~89mL/分/1.73m2)とaspirinに有意な相互作用を認めた(p=0.02)。
●結論 日本人の2型糖尿病患者において,eGFR 60~89mL/分/1.73m2の場合には低用量aspirinにより動脈硬化イベントが有意に減少した。