編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Shurraw S, Hemmelgarn B, Lin M, Majumdar SR, Klarenbach S, Manns B, Bello A, James M, Turin TC, Tonelli M; Alberta Kidney Disease Network : Association between glycemic control and adverse outcomes in people with diabetes mellitus and chronic kidney disease: a population-based cohort study. Arch Intern Med. 2011; 171: 1920-7. [PubMed]

カナダ,アルバータ州の腎疾患ネットワーク登録を用いたCKD3~4期の糖尿病患者23,296例を対象とした貴重な解析である。登録時HbA1cの高値例,とくに8.0%以上では全死亡や心筋梗塞,脳卒中,末期腎不全の発症率が上昇した。それだけでなく,HbA1cが6.5%未満の例でも全死亡が上昇し,いわゆるUカーブを示した。また,CKD 3期の患者では,HbA1c高値例での末期腎不全のリスクが著しく増加したが,CKD 4期の患者ではわずかな増加にとどまった。これらのことより,eGFR低値,すなわち,すでに細小血管障害が起こっているような糖尿病患者での血糖コントロール指標は,腎機能があまり低下していない場合と同等に厳格にすべきかどうか,再考の余地があるのかもしれない。【片山茂裕

●目的 ステージ3~4の慢性腎臓病(CKD)を有する糖尿病患者において,HbA1c値が臨床アウトカムと独立して相関するかを検討した。
一次アウトカムは,全死亡。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は2005年1月1日~2006年12月31日。追跡期間は46ヵ月(中央値)。
●対象患者 23296例:推定糸球体濾過量(eGFR)15.0~59.9mL/分/1.73m²の糖尿病患者。HbA1c中央値6.9%(範囲2.8~20.0%)。
●方法 初回HbA1c測定により患者を分類した(<7%[11781例],7~9%[8853例],>9%[2662例])。Cox回帰モデルを用いて,HbA1cとアウトカムとの相関を評価した。
●結果 追跡期間の死亡は3665例,末期腎疾患(ESRD)発症は401例。
ベースラインのeGFRにかかわらず,HbA1c高値とアウトカムリスク上昇は独立して有意に相関した(p<0.001)。死亡については,HbA1c値との相関はU字型を示し,HbA1c値<6.5%と>8.0%で死亡リスクが著明に上昇した。HbA1c高値とESRDリスク上昇の相関は,ベースラインのeGFR低値例では減弱した(p<0.001)。とくに,eGFR 30.0~59.9mL/分/1.73m²の場合のESRDリスクは,HbA1c値<7%の患者に比し,HbA1c値7~9%の患者で22%上昇し,HbA1c値>9%の患者で152%上昇したが(p<0.001),eGFR 15.0~29.9mL/分/1.73m²の場合のESRDリスクは,それぞれ3%上昇,13%上昇であった。
●結論 ステージ3~4の血液透析を行っていないCKDを有する糖尿病患者において,HbA1c値>9%の頻度は高く,臨床アウトカムリスクと著明に相関した。一方,HbA1c低値(<6.5%)も死亡リスクを増大した。HbA1c上昇による腎不全リスクの増大は,腎機能がより良好な患者ほど著明であった。