編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Turkbey EB, Backlund JY, Genuth S, Jain A, Miao C, Cleary PA, Lachin JM, Nathan DM, van der Geest RJ, Soliman EZ, et al.; DCCT/EDIC Research Group : Myocardial structure, function, and scar in patients with type 1 diabetes mellitus. Circulation. 2011; 124: 1737-46. [PubMed]

糖尿病が粥状動脈硬化を促進し,心血管イベントを増加させることはよく認識されている。本研究では,1型糖尿病患者の心筋造影MRIを用いて心筋の組織所見の検討を行い,蛋白尿と心筋肥大が関連していること,および糖尿病患者では心筋瘢痕が多く,それがHbA1c値の上昇や蛋白尿と関連していることを示した。
この研究では,血糖コントロールや細小血管合併症が,心筋の組織所見に関わることを,MRIを用いて直接的に明らかにした。糖尿病患者では心不全が増加することや,心筋梗塞後の予後が不良であることが知られているが,それらを説明する因子として興味深い結果である。【西尾善彦

●目的 1型糖尿病患者において,心血管疾患リスク因子と心筋の構造,機能,瘢痕の関連を検討した。
●デザイン DCCT/EDICのサブコホート解析。
●試験期間 DCCTの試験期間は1983~1993年(登録期間は1983~1989年)。
EDIC追跡試験は1994年に開始。
平均追跡期間はDCCT/EDIC全体で22年,EDICでは15年。
●対象患者 1017例:DCCT/EDICの参加者のうち,EDICでの追跡期間14~16年に心臓MRIを実施した1型糖尿病患者。そのうちガドリニウム心臓MRIの実施は741例。平均年齢49±7歳。男性52%。糖尿病平均罹患期間28±5年。
●方法 心血管疾患リスク因子と心臓MRIパラメーターとの関連を線形回帰モデルまたはロジスティック回帰分析モデルで評価した。
●結果 マクロアルブミン尿の既往歴は左室心筋重量(14.8g)と正の関連を示し,左室心筋重量/拡張終末期容積比が有意に上昇した(0.08g/mL,P≦0.01)。22年間のHbA1c平均値は拡張終末期容積(HbA1c平均値1%あたり-3.0mL,P≦0.01)および一回拍出量(HbA1c平均値1%あたり-2.3mL,P≦0.01)と負の関連を示し,左室心筋重量/拡張終末期容積比の上昇と正の関連を示した(HbA1c平均値1%あたり0.02g/mL,P≦0.01)。心筋瘢痕の全有病率は心臓MRIでは4.3%,心筋梗塞の臨床判定では1.4%だった。HbA1c平均値(HbA1c平均値1%あたりのオッズ比[OR]1.5,95%CI 1.0-2.2,P=0.049)とマクロアルブミン尿(OR 3.5,95%CI 1.2-9.9)はともに,心筋瘢痕および典型的な心血管疾患のリスク因子と有意な関連が認められた。
●結論 典型的な心血管疾患リスク因子に加えて,HbA1c平均値の上昇とマクロアルブミン尿も左室構造および左室機能の変動と有意に関連していた。比較的腎機能が保存されていたDCCT/EDIC試験参加者のサブコホートでは,心筋瘢痕の有病率は4.3%だった。