編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Vupputuri S, Nichols GA, Lau H, Joski P, Thorp ML: Risk of progression of nephropathy in a population-based sample with type 2 diabetes. Diabetes Res Clin Pract. 2011; 91: 246-52. [PubMed]

米国の医療保険組織(HMO)に加入している,高血圧を有する2型糖尿病患者のベースラインでの正常アルブミン尿,微量アルブミン尿,マクロアルブミン尿の比率は,日本のJDDM研究や多国間のDEMAND試験の報告とほぼ一致するものである。ただ,腎症進展の発症率は,UKPDSの20~28/1000人・年,あるいはわが国のJDCS研究の正常および軽度-微量アルブミン尿から蛋白尿発症率6.7人/1000人・年に比べ格段に高い。この理由の一つは,本研究が高血圧患者だけでの解析のためといえるだろう。また,ACE阻害薬とARBが使用されている患者の割合が61~67%というのも,もう一つの理由であろう。いずれにしても,腎症の進展に高血圧が大きなインパクトを与えていることを再認識すべきであろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病において,腎症の進展と関連する特徴について検討した。
●デザイン 観察研究,コホート。
●試験期間 登録期間2001~2003年。
●対象患者 10290例;米国の医療保険組織(health maintenance organization,HMO)に加入している高血圧の2型糖尿病患者。
登録基準:2001~2003年に尿アルブミン-クレアチニン比(UACR)を測定し,ベースラインのUACR測定以前の少なくとも6ヵ月間HMOに加入していること。
除外基準:3~5年の追跡期間中,2回以上のUACR測定を行わなかった患者。
●方法 ベースライン時に患者を糖尿病腎症の3つのステージ,正常アルブミン尿(<3.4mg/mmol),微量アルブミン尿(3.4~33.8 mg/mmol),マクロアルブミン尿(≧33.9 mg/mmol)に分類。ベースライン時と追跡期間のUACRを比較し,腎症の進展を評価。腎症の進行は,ベースライン時より高いステージへの移行として定義した。
●結果 ベースライン時では,患者の57%が正常アルブミン尿,31%が微量アルブミン尿,12%がマクロアルブミン尿であった。腎症進展の発生率は正常アルブミン尿で94.7人/1000人/年,微量アルブミン尿で35.1人/1000人/年,マクロアルブミン尿で6.5人/1000人/年だった。追跡期間にマクロアルブミン尿を有した患者を除き,61~67%の患者でACE阻害薬とARBが使用された。年齢,糖尿病罹患期間,HbA1cは腎症進展の予測因子として統計的に有意な結果が得られた。
●結論 高血圧の2型糖尿病患者では,過去に報告されているよりも腎症の発症と進展が多いことが示された。さらに,ACE阻害薬とARBの使用は十分ではないことが示された。