編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Willemen MJ, Mantel-Teeuwisse AK, Straus SM, Meyboom RH, Egberts TC, Leufkens HG: Use of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and the reporting of infections: a disproportionality analysis in the World Health Organization VigiBase. Diabetes Care. 2011; 34: 369-74. [PubMed]

DPP-4の酵素活性は,膜蛋白CD26の膜外ドメインに存在する。このCD26はT細胞の活性化に重要な役割を果たす分子であるため,DPP-4阻害薬はCD26のT細胞活性化を減弱させる可能性がある。したがって,分子メカニズムを考慮すると,DPP-4阻害薬が感染症発症のリスクを増加させる可能性はある。
その一方で,この解析が用いたような副作用の自発報告システムにおいては,新薬が登場し,その薬剤が何らかの副作用を起こす可能性があることに注意が集まると,その副作用に関する報告が過剰に集積する場合があり,臨床での現実を反映しないことがありうる。したがって,本研究結果は慎重に解釈されなければならない。【綿田裕孝

●目的 糖尿病患者におけるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の使用と有害薬剤反応(ADR)としての感染症報告の相関を検討した。
●デザイン コホート内症例対照研究。
●試験期間 調査期間は1999~2009年。
●対象患者 106,469例:世界保健機関のADRデータベースであるVigiBaseにおいて,1999~2009年に抗糖尿病薬によるADRが報告された症例。
●方法 抗糖尿病薬によるADRの報告305,415件のうち,ADRとしての感染症の報告と,抗糖尿病薬の種類(ビグアナイド,スルホニル尿素薬,チアゾリジン薬,DPP-4阻害薬,インスリン,経口抗糖尿病薬[OAD]の2剤併用,OADとインスリンの併用,3剤以上の薬剤併用)との相関を検討。
●結果 DPP-4阻害薬単剤療法によるADRの報告は8,083件であった。DPP-4阻害薬使用におけるADRとしての感染症の報告は,他の薬剤よりも高率で,ビグアナイドの2倍以上であった(報告オッズ比2.3,95%CI 1.9-2.7)。感染症の種類別では,DPP-4阻害薬ではビグアナイドに比し,上気道感染症の報告が著明に多かったが(報告オッズ比12.3,95%CI 8.6-17.5),下気道感染症(報告オッズ比0.8),尿路感染症(報告オッズ比1.2),その他の感染症(報告オッズ比0.8)では大きな差異を認めなかった。
●結論 DPP-4阻害薬の使用により,他の抗糖尿病薬に比し,上気道感染症の報告が増加することが示された。しかし,VigiBaseは自発報告システムであることを考慮する必要がある。