編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Jacobson AM, Ryan CM, Cleary PA, Waberski BH, Weinger K, Musen G, Dahms W; Diabetes Control and Complications Trial/EDIC Research Group : Biomedical risk factors for decreased cognitive functioning in type 1 diabetes: an 18 year follow-up of the Diabetes Control and Complications Trial (DCCT) cohort. Diabetologia. 2011; 54: 245-55. [PubMed]

まだ認知機能の低下のみられない,若年の1型糖尿病患者を対象に,認知機能低下の規定因子を検討した貴重な研究である。
認知機能低下の規定因子として網膜症が同定された理由として,糖尿病患者での認知機能低下の要因に細小血管障害が関与する可能性がある。一方,HbA1cが同定された理由としては,高血糖が神経細胞の機能低下に関わる可能性が高い。
低血糖と認知機能低下の関係が強調されているが,やはり高血糖が重要な認知機能低下の規定因子と同定されたことが興味深い。【綿田裕孝

●目的 1型糖尿病患者において,長期的な認知機能低下に対するリスク因子を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は1983~1989年。追跡期間は平均18.5年(範囲15~23年)。
●対象患者 1,144例:DCCT参加者(13~39歳の1型糖尿病患者1441例)のうち,その後のEDICに参加し,包括的認知検査を受けた患者。
●方法 大血管リスク因子(高血圧,喫煙,高コレステロール血症,肥満),大血管障害(頸動脈内膜-中膜壁肥厚,冠動脈石灰化),細小血管障害(網膜症,腎症),HbA1cと,認知機能の変化の相関を検討。
●結果 単変量解析では,喫煙歴と学習,記憶,空間情報処理,精神運動効率に相関を認め,高血圧と精神運動効率に相関を認めた。
多変量解析では,HbA1c,網膜症,腎症は,精神運動効率の低下と独立して相関したが,大血管リスク因子はいずれも,認知機能との相関を認めなかった。
これらの予測因子と性別,重度低血糖イベント,APOEε4アレルの有無との相互作用は認めなかった。
●結論 1型糖尿病患者において,長期的な代謝コントロールおよび細小血管因子は,認知機能の低下と独立して相関し,特に精神運動効率への影響が大きかった。