編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kawasaki R, Tanaka S, Tanaka S, Yamamoto T, Sone H, Ohashi Y, Akanuma Y, Yamada N, Yamashita H; Japan Diabetes Complications Study Group : Incidence and progression of diabetic retinopathy in Japanese adults with type 2 diabetes: 8 year follow-up study of the Japan Diabetes Complications Study (JDCS). Diabetologia. 2011; 54: 2288-94. [PubMed]

わが国において2型糖尿病患者を対象に行われた,代表的な無作為割り付け試験の一つにあげられるのがJapan Diabetes Complications Study(JDCS)である。本報告は,JDCSにおいて網膜症の発症・進展について検討したサブ解析である。
糖尿病網膜症の発症率は38.3件/1000人-年,進展率は21.1件/1000人-年であり,その発症のリスク因子としてHbA1c,血圧,BMI高値と罹病期間が,進展のリスク因子としてHbA1c高値があげられた。
本研究により,日本人の2型糖尿病における網膜症の発症予防・進展阻止に関し,介入すべき因子が明示されたことになる。【西村理明

●目的 日本人の2型糖尿病患者において,糖尿病網膜症の発症率および進展率,それらのリスク因子を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 追跡期間は8年。試験期間は1996年3月~2003年3月。
●対象患者 1631例:JDCSの参加者(40~70歳の日本人の2型糖尿病患者2033例)のうち,ベースラインに糖尿病網膜症を認めない患者1221例と,ベースラインに軽度非増殖性糖尿病網膜症を認める患者410例。
●方法 JDCSでは,生活習慣介入群,通常治療群に無作為割り付け。
本解析では,ベースラインに糖尿病網膜症を認めない患者における追跡期間の糖尿病網膜症発症率,ベースラインに軽度非増殖性糖尿病網膜症を認める患者における重度非増殖性糖尿病網膜症への進展率を検討。
●結果 糖尿病網膜症の発症率は38.3件/1000人-年,進展率は21.1件/1000人-年であった。
糖尿病網膜症発症のリスク因子は,HbA1c高値(1%上昇に伴う調整ハザード比[aHR]1.36,95%CI 1.28-1.45),糖尿病罹病期間延長(5年延長に伴うaHR 1.26,95%CI 1.17-1.35),SBP高値(10mmHg上昇に伴うaHR 1.01,95%CI 1.00-1.02),BMI高値(1kg/m2上昇に伴うaHR 1.05,95%CI 1.00-1.09)であった。HbA1cと発症率の相関は線形で,糖尿病罹病期間と発症率の相関は,罹病期間5~10年で急速に増大した。
糖尿病網膜症進展のリスク因子は,HbA1c高値であった(1%上昇に伴うaHR 1.66,95%CI 1.41-1.95)。
●結論 日本人の2型糖尿病患者において,糖尿病網膜症の発症率および進展率は,欧米諸国よりも低かった。HbA1cは,糖尿病網膜症の発症および進展のいずれものリスク因子であった。糖尿病罹病期間と糖尿病網膜症発症との相関の程度は,罹病期間5~10年で急速に増大した。