編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Andersson C, Lyngbæk S, Nguyen CD, Nielsen M, Gislason GH, Køber L, Torp-Pedersen C: Association of clopidogrel treatment with risk of mortality and cardiovascular events following myocardial infarction in patients with and without diabetes. JAMA. 2012; 308: 882-9. [PubMed]

MI後のclopidogrel治療による全死亡および心血管死リスクの低下率は,非糖尿病患者においてはそれぞれ25%,23%であったが,糖尿病患者においては,それぞれ11%,7%に過ぎなかった。この結果から,ただちに心血管イベントの再発リスクの高いMI後の糖尿病患者においてclopidogrel治療の臨床的意義がないということにはならない。現在の米国のガイドラインではclopidgrelかprasugrelにアスピリンを加えた2種類の抗血小板薬による治療を勧めている。しかしながら,prasugrelのほうがclopidgrelより有効性が高いとする成績もあり,今後さらなら検討が必要といえる。【片山茂裕

●目的 糖尿病を有する心筋梗塞(MI)患者において,抗血小板薬clopidogrelの臨床的有効性を検討した。
主要アウトカムは,全死亡,心血管死,MI再発+全死亡。
●デザイン コホート。
●試験期間 追跡期間は365日(中央値)。2009年12月31日追跡終了。
●対象患者 58,851例:2002~2009年にMIにより入院し,生存し,退院後30日以内に冠動脈バイパス術を施行しなかった患者。うち,糖尿病患者7,247例(12%)。
●方法 デンマーク全国登録データを使用。
Cox比例ハザードモデルとプロペンシティスコア・マッチングモデルにより,年齢,性別,併発疾患,暦年,併用薬,侵襲治療を調整後,糖尿病患者と非糖尿病患者でアウトカムを比較。
●結果 ベースラインにclopidogrelを使用していたのは35,380例(60%)。
MI再発+全死亡は,糖尿病患者1,790例(25%),非糖尿病患者7,931例(15%)。そのうち,全死亡は,糖尿病患者1,225例(17%),非糖尿病患者5,377例(10%)。全死亡中の心血管イベント由来の死亡は,糖尿病患者978例(80%),非糖尿病患者4,100例(76%)。
糖尿病患者において,clopidogrel使用例の非調整死亡率(/100人・年)は13.4(95%CI 12.8-14.0),非使用例は29.3(95%CI 28.3-30.4)。非糖尿病患者において,clopidogrel使用例の非調整死亡率は6.4(95%CI 6.3-6.6),非使用例は21.3(95%CI 21.0-21.7)。
糖尿病患者では非糖尿病患者に比し,clopidogrelの全死亡に対する有効性が減弱し(ハザード比:0.89[95%CI 0.79-1.00] vs 0.75[95%CI 0.70-0.80];p for interaction=0.001),心血管死に対する有効性も減弱したが(ハザード比:0.93[95%CI 0.81-1.06] vs 0.77[95%CI 0.72-0.83];p for interaction=0.01),MI再発+死亡に対する有効性は減弱しなかった(ハザード比:1.00[95%CI 0.91-1.10] vs 0.91[95%CI 0.87-0.96];p for interaction=0.08)。プロペンシティスコア・マッチングモデルでも同様の結果であった。
●結論 糖尿病患者は非糖尿病患者に比し,MI後のclopidogrel治療による全死亡および心血管死リスクの低下効果が小さかった。