編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ridker PM, Pradhan A, MacFadyen JG, Libby P, Glynn RJ: Cardiovascular benefits and diabetes risks of statin therapy in primary prevention: an analysis from the JUPITER trial. Lancet. 2012; 380: 565-71. [PubMed]

今回の検討の結果,LDLコレステロール値が130mg/dL以下であるものの,血中CRP高値で心血管イベント発症リスクを有する患者へのスタチン投与は,糖尿病発症率の上昇を加味しても,心血管イベント発症抑制効果の有用性が優ることが明らかとなった。【綿田裕孝

●目的 一次予防におけるスタチン療法の心血管ベネフィットと糖尿病リスクを検討した(JUPITER試験のサブ解析)。
一次エンドポイントは,心筋梗塞,脳卒中,不安定狭心症による入院,動脈血行再建術,心血管死。
●デザイン 無作為化比較試験のサブ解析。JUPITERは無作為,二重盲検,プラセボ対照。
●試験期間 JUPITERの追跡期間は最大5年。
●対象患者 17603例:心血管疾患の既往または糖尿病を認めない男女。
JUPITERの登録基準:LDL-C<130mg/dL,高感度C反応性蛋白≧2mg/L。
●方法 JUPITERは,rosuvastatin 20mg群,プラセボ群に無作為割付け。
本解析では,糖尿病のリスク因子(メタボリックシンドローム,空腹時血糖異常,BMI≧30kg/m2,HbA1c値>6%)の有無別に,アウトカムを比較。
●結果 糖尿病のリスク因子を有する患者(11,508例)は,有さない患者(6,095例)に比し,糖尿病発症リスクが高かった。
糖尿病のリスク因子を有する患者において,rosuvastatin群ではプラセボ群より,一次エンドポイントリスクが39%低下し(ハザード比[HR]0.61,95%CI 0.47-0.79,p=0.0001),静脈血栓塞栓症リスクが36%低下し(HR 0.64,95%CI 0.39-1.06,p=0.08),全死亡リスクが17%低下し(HR 0.83,95%CI 0.64-1.07,p=0.15),糖尿病リスクが28%増大した(HR 1.28,95%CI 1.07-1.54,p=0.01)。したがって,糖尿病のリスク因子を有する患者において,新規発症糖尿病54件につき,計134件の血管イベントまたは死亡が回避された。
糖尿病のリスク因子を有さない患者において,rosuvastatin群ではプラセボ群より,一次エンドポイントリスクが52%低下し(HR 0.48,95%CI 0.33-0.68,p=0.0001),静脈血栓塞栓症リスクが53%低下し(HR 0.47,95%CI 0.21-1.03,p=0.05),全死亡リスクが22%低下し(HR 0.78,95%CI 0.59-1.03,p=0.08),糖尿病リスクの増大は認めなかった(HR 0.99,95%CI 0.45-2.21,p=0.99)。したがって,糖尿病のリスク因子を有さない患者において,新規発症糖尿病は認めずに,計86件の血管イベントまたは死亡が回避された。
追跡期間に糖尿病を発症した486例を対象とした解析では(rosuvastatin群270例,プラセボ群216例;HR 1.25,95%CI 1.05-1.49,p=0.01),rosuvastatinによる心血管リスク低下は(HR 0.63,95%CI 0.25-1.60),全患者を対象とした場合(HR 0.56,95%CI 0.46-0.69)と同等であった。rosuvastatinはプラセボに比し,糖尿病診断までの平均期間を5.4週間短縮した(84.3±47.8週 vs 89.7±50.4週)。
●結論 糖尿病発症リスクの高い患者においても,スタチン治療による心血管および死亡に対するベネフィットは,糖尿病発症リスクを超越することが示された。