編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wessels AM, Lane KA, Gao S, Hall KS, Unverzagt FW, Hendrie HC: Diabetes and cognitive decline in elderly African Americans: a 15-year follow-up study. Alzheimers Dement. 2011; 7: 418-24. [PubMed]

糖尿病患者では認知機能が低下しやすいことが知られるようになり,注目を集めている。この原因として,糖血糖やそれに伴う合併症の影響,あるいは心血管疾患や脳血管障害などがあげられている。
糖尿病や認知機能低下のリスクが高いアフリカ系米国人を長期間追跡した今回の検討では,糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ,認知機能の低下が有意に加速した。その程度は,非糖尿病患者より約2.5倍の速さであった。また本検討からは,糖尿病患者における認知機能の低下には,脳卒中が関与していることが示唆された。【片山茂裕

●目的 高齢のアフリカ系米国人において,糖尿病により認知機能低下が加速するかを検討した。
●デザイン 前向き,疫学。
●試験期間 登録期間は1992年。追跡期間は0.9~15.2年(中央値4.9年,平均6.7年)。
●対象患者 1702例:≧65歳のアフリカ系米国人。糖尿病患者441例,非糖尿病患者1261例。
●方法 ベースライン,2年後,5年後,その後3回の認知症の地域スクリーニングインタビューを行い,認知機能を評価。反復測定混合効果モデルを用いて,糖尿病および血管リスク因子と経時的認知スコアの相関を検討。
●結果 基本的な人口学的因子,ベースラインの併発疾患(心疾患,高血圧,脳卒中,うつ病)を調整後,糖尿病患者は非糖尿病患者より,認知機能の低下が有意に加速した(p=0.046)。
心疾患の発症を調整後は相関が減弱し,とくに脳卒中で減弱が著明であったことから(p=0.098),糖尿病と認知機能低下の相関には脳卒中が関与していることが示唆された。
しかし,脳卒中の発症をモデルに組み込むと,脳卒中非発症例とベースラインの脳卒中例では,糖尿病と認知機能低下の相関を認めなかったが(それぞれp=0.267,p=0.328),ベースライン後の脳卒中発症例では,糖尿病と認知機能低下は有意に相関した(p=0.007)。
●結論 高齢のアフリカ系米国人において,糖尿病は脳血管疾患を介在することにより,認知機能低下を加速した。