編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Katon W, Lyles CR, Parker MM, Karter AJ, Huang ES, Whitmer RA: Association of depression with increased risk of dementia in patients with type 2 diabetes: the Diabetes and Aging Study. Arch Gen Psychiatry. 2012; 69: 410-7. [PubMed]

糖尿病もうつも,認知症の独立したリスクとして知られている。最近のメタ解析では,糖尿病患者ではすべての認知症リスクが47%増加し,アルツハイマー病のリスクが39%増加,血管性認知症リスクが2倍になると報告されている。今回の2万人におよぶ検討では,うつを併発する糖尿病患者は,認知症リスクのハザード比が約2倍に達した。うつがあれば,食事療法や運動療法が遵守できなくなり,結果として血糖コントロールが不良となることが,認知症のリスクを増加させるとも考えられる。最近では,うつにおけるインスリン抵抗性の増大,視床下部-下垂体系の異常からもたらされるグルココルチコイドの上昇,II-6,TNFαなどの炎症物質や血小板凝集の亢進なども,認知症のリスクを増加させるとする成績も報告されている。
層別解析で,65歳以下は65歳以上よりも,また非インスリン治療例よりもインスリン治療例よりも有意に認知症のリスクが高いことも興味深い。特にインスリンは脳内のβアミロイドの代謝に影響を及ぼし,インスリンの調節異常がアルツハイマー病の病態に関与するといわれていることを追記する。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,うつ病の併発により認知症リスクが上昇するかを検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は2005年5月~2006年12月。
●対象患者 19,239例:認知症のない2型糖尿病患者。30~75歳。
●方法 患者健康質問票8,国際疾患分類第9版(ICD-9)によるうつ病の診断,過去12ヵ月間の抗うつ薬の処方により,うつ病を評価。ICD-9 Clinical Modification(ICD-9-CM)により,臨床的認知症を評価。
うつ病が認知症の前駆症状である可能性を除外するため,認知症の診断は,ベースライン後3~5年時に行ったICD-9-CM診断に基づいて評価。
Cox比例ハザード回帰モデルを用いて,うつ病を併発する糖尿病患者の,併発しない糖尿病患者に対する認知症の相対リスクを算出(社会人口学的因子,臨床的因子,健康的因子,医療資源使用を調整)。
●結果 3~5年間の認知症発症率は,うつ病を併発する糖尿病患者は2.1%(80/3766例),併発しない糖尿病患者は1.0%(158/15473例)であった(発生率:5.5 vs 2.6件/1000人・年)。
うつ病を併発する糖尿病患者は,ベースライン後3~5年間で,認知症リスクが100%増加した(調整ハザード比2.02,95%CI 1.73-2.35,p<0.001)。
●結論 2型糖尿病患者において,うつ病の併発により認知症発症リスクが著明に上昇した。