編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Köhler M, Kliegel M, Kaduszkiewicz H, Bachmann C, Wiese B, Bickel H, Mösch E, Weyerer S, Werle J, Fuchs A, et al.; Ageing, Cognition and Dementia in Primary Care Patients (AgeCoDe) study group : Effect of cardiovascular and metabolic disease on cognitive test performance and cognitive change in older adults. J Am Geriatr Soc. 2012; 60: 1286-91. [PubMed]

心血管疾患と糖尿病などの代謝性疾患が,認知機能に及ぼす影響を経時的に調べた成績である。年齢,教育レベル,うつ症状が,初期の認知機能と最も関連していた。脳卒中の既往例では,言語流暢性と単語リスト遅延想起の成績が低く,糖尿病例では言語流暢性のみ成績不良であった。
今までの糖尿病患者における認知機能の検討では,糖尿病では実行能力や迅速な行動に影響があるとする報告が多いが,記憶(前頭葉の機能)との関連を示唆する成績は少ない。糖尿病と認知機能との関連を明らかにするためには,さらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 認知機能テストでの初期成績と認知機能の経時的低下に対する,心血管疾患と代謝性疾患の影響を検討した。
●デザイン 前向き,コホート,縦断研究。
●試験期間 2003年~2009年。
●対象患者 3214例:≧75歳のドイツ6都市の住民。平均79.7歳。
登録基準:一般医へ通院,十分なドイツ語の能力。
除外基準:難聴,失明,3ヵ月以内に死亡の可能性があると判断される重篤な疾患,認知症,養護施設の入居者。
●方法 研究参加医師が患者のなかからランダムに平均24名を選出。トレーニングをうけた医師と心理学者が18ヵ月ごとに患者の自宅を訪問し,臨床的インタビューを実施。
臨床的インタビューでは,年齢,教育レベル,居住形態(一人暮らし,または家族と同居)などの社会人口学的データ,うつ状態,疾患,薬剤服用,認知機能に関するデータを収集。うつ症状の評価にはドイツ版15項目老年期うつ尺度を用い,スコア6未満はうつ症状なし,スコア6以上をうつ症状ありとした。
心血管疾患(高血圧,心筋梗塞,冠動脈疾患,不整脈,一過性脳虚血発作[TIA],脳卒中)と代謝性疾患(糖尿病)の有無については,医師が質問紙により評価。服用中の薬物など,治療状況についても記録。
認知機能については,the Consortium to Establish a Registry for Alzheimer’s diseaseの神経心理学的テストバッテリーの3つのサブセットを用い,言語流暢性,単語リスト学習と即時想起,単語リスト遅延想起により評価。
心血管疾患と代謝性疾患,認知機能の関連を潜在成長曲線モデルにより解析。
●結果 認知機能テストの3項目(言語流暢性,単語リスト学習と即時想起,単語リスト遅延想起)の初期評価は,年齢,教育レベル,うつ症状と関連していた。男性,抗精神薬や他の薬剤服用例では,単語リスト即時想起と遅延想起の成績が不良であった。TIAまたは脳卒中の既往例では,言語流暢性と単語リスト遅延想起の成績が低く,糖尿病例では言語流暢性のみ成績不良であった。
認知機能テスト3項目での成績の変化率ともっとも関連が強いのは年齢で,高齢の患者ほど成績が低下していた。単語リスト即時想起には,抗精神薬や他の薬剤服用との逆相関がみられた。
疾患の負荷(disease burden)は,言語流暢性(推定値-0.122,P=0.020),単語リスト即時想起(推定値-0.129,P=0.11),単語リスト遅延想起(推定値-0.016,P=0.68)のいずれの変化率とも関連がみられなかった。
●結論 糖尿病,脳卒中およびTIAは,既知の社会人口学的変数やうつ症状よりも,認知機能テストの成績に影響していたが,認知機能の経時的低下との関連はみられなかった。