編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Currie CJ, Poole CD, Evans M, Peters JR, Morgan CL: Mortality and other important diabetes-related outcomes with insulin vs other antihyperglycemic therapies in type 2 diabetes. J Clin Endocrinol Metab. 2013; 98: 668-77. [PubMed]

レトロスペクティブコホート研究のため,さまざまな交絡因子の影響が入っている可能性がある。著者も述べているとおり,「適応による交絡」の影響がもっとも大きいと思われる。外因性インスリンの悪影響か,それともインスリンを必要とする病態がアウトカムに関連しているのかの判断に注意が必要である。
たとえば,腎機能が低下するとmetforminは禁忌となりインスリンが使用されるが,本研究でも血清クレアチニン>130 μmol/Lの症例の割合は,metforminとインスリンとで大きく異なる。腎機能低下群ではさまざまな心血管イベントが多いが,これをインスリンの悪影響と即断することはできない。インスリンが適応となる病態が影響している可能性がある。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,血糖降下薬の有害アウトカムリスクを,治療法別に検討した。
主要アウトカムは,主要有害心イベント(MACE)+初発がん+死亡。二次アウトカムは,MACE,初発がん,死亡,細小血管合併症。
●デザイン レトロスペクティブ,コホート。
●試験期間 試験期間は2000年1月1日~2010年12月31日。
●対象患者 84,622例:血糖降下薬を使用しているプライマリーケアの2型糖尿病患者。
●方法 2000~2010年の英国一般診療研究データベースを使用。
metformin単独療法,スルホニル尿素(SU)類単独療法,インスリン単独療法,metformin+SU類併用療法,インスリン+metformin併用療法で,有害アウトカムのリスクを比較。
●結果 解析した治療回数は105,123回であった(metformin単独58,532回,SU類単独16,218回,metformin+SU類併用23,049回,インスリン単独3,944回,インスリン+metformin併用3,380回)。
metformin単独に対する主要アウトカムの調整ハザード比は,SU類単独1.436(95%CI 1.354-1.523,p<0.0001),metformin+SU類併用1.024(95%CI 0.963-1.090,p=0.4454),インスリン単独1.808(95%CI 1.630-2.005,p<0.0001),インスリン+metformin併用1.309(95%CI 1.150-1.491,p<0.0001)であった。
HbA1cと合併症で分けた検討でも,インスリン単独の主要アウトカムリスクは高く,調整ハザード比は1.469(95%CI 0.978-2.206)~2.644(95%CI 1.896-3.687)であった。
二次アウトカムについてもインスリン単独でリスク上昇を認め,調整ハザード比はそれぞれ,心筋梗塞1.954(95%CI 1.479-2.583),MACE 1.736(95%CI 1.441-2.092),脳卒中1.432(95%CI 1.159-1.771),腎合併症3.504(95%CI 2.718-4.518),神経障害2.146(95%CI 1.832-2.514),眼合併症1.171(95%CI 1.057-1.298),癌1.437(95%CI 1.234-1.674),全死亡2.197(95%CI 1.983-2.434)であった。
インスリン単独とその他の療法の直接比較では,主要アウトカムと全死亡リスクがインスリン単独で高かった。
●結論 2型糖尿病患者において,インスリン単独療法は糖尿病関連合併症,癌,全死亡のリスクを上昇させた。