編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Theilade S, Lajer M, Persson F, Joergensen C, Rossing P: Arterial stiffness is associated with cardiovascular, renal, retinal, and autonomic disease in type 1 diabetes. Diabetes Care. 2013; 36: 715-21. [PubMed]

PWVが一般の集団や高血圧患者あるいは糖尿病患者で,心血管疾患の予測因子になることに関しては多くの検討がある。1型糖尿病患者でも,PWVが心血管疾患や腎機能と関連することが知られている。今回の報告は,676例という多数の1型糖尿病患者での貴重な検討である。PWVは,年齢・罹病期間・性別・アルブミン尿・腎機能・血圧などと相関し,網膜症や自律神経障害があると高値となることが確認された。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,動脈壁硬化と糖尿病合併症発症リスク(アルブミン尿,心血管疾患,血圧上昇,網膜症,自律神経障害)の関連を検討した。
●デザイン コホート,縦断研究,単施設(デンマーク,Steno Diabetes Center)。
●試験期間 2009年9月~2011年6月。
●対象患者 635例:白人の1型糖尿病患者で,脈波伝播速度(PWV)の測定値が得られている例。平均54歳,男性55%。正常アルブミン尿+罹病短期間93例,正常アルブミン尿+罹病長期間211例,微量アルブミン尿152例,顕性アルブミン尿179例。
対照(非糖尿病)群は51例。平均47歳。
●方法 動脈壁の硬化は大動脈PWVにより評価。ANCOVAを用いて,糖尿病合併症とPWVとの関連を検討(性別,年齢,推算糸球体濾過量,HbA1c,心拍数,および24時間平均動脈圧により調整)。
●結果 平均PWV((m/秒)は,糖尿病患者群10.4,対照群7.6であった(P<0.001)。
糖尿病患者群において,平均PWVと正の関連を示したのは,年齢(r=0.63),糖尿病罹病期間(r=0.54),24時間脈圧(r=50),心拍変動(r=0.48),24時間収縮期血圧(r=0.33),尿中アルブミン排泄量(r=0.24),心拍数(r=0.21),およびdipping(r=0.10)であった(いずれもP<0.001)。平均PWVと負の関連が示されたのは,推算糸球体濾過量(r=0.33,P<0.001)であり,24時間拡張期血圧(r=0.10,P=0.021)および24時間平均動脈圧(r=0.06,P=0.07)もわずかながら負の関連を示した。
平均PWV値は,正常アルブミン尿例で,対照に比して有意に高かった(9.5±3.2 vs 7.6±1.9,P<0.001)。また,正常アルブミン尿で糖尿病罹病期間が長い例では(10.2±3.3),短い例(7.8±1.9)に比して有意に高かった(P<0.001)。アルブミン尿(正常アルブミン尿9.5±3.2,微量アルブミン尿11.0±3.6,顕性アルブミン尿11.4±3.0,P=0.008),心血管疾患既往(あり12.1±3.5,なし10.0±3.2,P<0.001),24時間平均動脈圧(高血圧[≧140/90 mmHg] 11.8±3.6,正常血圧[130~40/80~89 mmHg] 10.0±3.0,低血圧[<130/80 mmHg] 9.8±3.3,P<0.001)においても,それぞれ有意な差が認められた。また,網膜症のグレードが悪化すると,PWV値も有意に上昇した(網膜症なし8.0±2.5,単性網膜症10.0±2.8,増殖性網膜症12.1±3.5,失明12.7±2.4,P<0.001)。心拍数変動の異常とともに,PWV値も有意に上昇した(異常例11.5±3.3,境界例10.1±3.1,正常例8.1±2.1,P=0.027)。
●結論 1型糖尿病の罹病期間が長くなるにつれて,動脈壁硬化が増加した。PWVは,心血管疾患,腎疾患,網膜症,および自律神経障害など,すべての糖尿病合併症リスクと,独立して正の関連を示した。