編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wing RR, Bolin P, Brancati FL, Bray GA, Clark JM, Coday M, Crow RS, Curtis JM, Egan CM, Espeland MA, et al.; Look AHEAD Research Group: Cardiovascular effects of intensive lifestyle intervention in type 2 diabetes. N Engl J Med. 2013; 369: 145-54. [PubMed]

体重を減少させることは,古くより肥満を伴う2型糖尿病患者に勧められてきた。しかしながら,体重を減少させることが心血管疾患罹患率や死亡率を低下させるかについてのメタ解析やコホート研究が行われてきたが,その有効性についてはかならずしも明らかではなく,無作為化による検討はない(わが国ではJDCSがあるが,引用されていないのは残念である)。
今回の,カロリー摂取制限および身体活動増強により減量を目指した強化ライフスタイル介入は,心血管疾患罹患率および死亡率を低下させなかった。5,000例を超える規模で行われたが,なお検出力が不足しているのかもしれない。また,最初の1年間にみられた8.6%におよぶ体重減少が長続きしなかったことや,対照群にも教育が行われてスタチンなども多く使われたことも,低下がみられなかった理由かもしれない。
ただし,心血管疾患の既往歴のない群では,心血管疾患罹患率と死亡率を低下させる傾向が認められており(HR 0.86,95%CI 0.72-1.02),さらなる検討が求められる。【片山茂裕

●目的 過体重/肥満の成人2型糖尿病患者において,カロリー摂取制限および身体活動増強による減量を目的とした強化ライフスタイル介入は,心血管疾患罹患率および死亡率を低下させるか検討した。
複合一次エンドポイントは心血管疾患新規発症(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+狭心症による入院の複合)。
●デザイン ランダム化,非盲検(エンドポイントは盲検化),多施設(米国,16施設),time-to-event,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2001年8月~2004年4月。追跡期間は中央値9.6年(最長13.5年が予定されていたが,futility analysisにより,2012年9月14日に試験中止)
●対象患者 5145例:45~75歳の2型糖尿病患者。
登録基準:BMI≧25.0 kg/m2(インスリン投与例:≧27.0 kg/m2
●方法 対象患者を強化ライフスタイル介入群(2570例),対照群(2575例)にランダム化。
強化ライフスタイル介入群では,カロリー摂取量を減少させ,身体活動量を増加させることによって,7%以上の減量維持を目標とした。
カロリー摂取量目標値を1200~1800 kcal/日(脂肪<30%,タンパク質>15%)とし,食事代替食品を使用し,中等度の強化身体活動を175分/週以上実施することとした。
対照群では,糖尿病のサポートおよび教育を実施。
食事,運動,および社会的支援を中心とした,年に3回のグループセッションを4年間実施し,その後は回数を1回/年に減らして実施した。
●結果 強化ライフスタイル介入群で対照群にくらべ,体重(ベースラインから1年後:-8.6% vs. -0.7%,ベースラインから試験終了時:-6.0% vs. -3.5%;平均群間差-4,95%信頼区間-5 to -3,P<0.001),腹囲(平均群間差-3.2,95%信頼区間-3.9 to -2.4,P<0.001)が有意に大きく減少し,身体活動が改善し(0.6,0.5-0.8,P<0.001),HbA1cも減少した(-0.22,-0.28 to -0.16,P<0.001)。
複合一次エンドポイントである心血管疾患新規発症は,強化ライフスタイル介入群403例(1.83/100人・年),対照群418例(1.92/100人・年)と有意な差は認められなかった(ハザード比0.95,95%信頼区間0.83-1.09,P=0.51)。
複合二次エンドポイントである,心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合(ハザード比0.93,95%信頼区間0.79-1.10,P=0.42),全死亡+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中(0.93,0.82-1.05,P=0.23),全死亡+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+狭心症による入院+CABG+PCI+心不全による入院+頸動脈血管内膜切除術+末梢血管疾患(0.94,0.84-1.05,P=0.29),および心血管イベント各項目の発生についても,いずれも有意な群間差を認めなかった。
●結論 2型糖尿病の過体重/肥満患者において,減量を中心とした強化ライフスタイル介入は心血管疾患イベントの発生を減少させなかった。