編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Tanaka S, Tanaka S, Iimuro S, Yamashita H, Katayama S, Akanuma Y, Yamada N, Araki A, Ito H, Sone H, et al.; Japan Diabetes Complications Study Group Japanese Elderly Diabetes Intervention Trial Group : Predicting macro- and microvascular complications in type 2 diabetes: the Japan Diabetes Complications Study/the Japanese Elderly Diabetes Intervention Trial risk engine. Diabetes Care. 2013; 36: 1193-9. [PubMed]

糖尿病の個別治療を考える際,患者ごとのイベント発症リスクを算出する必要があるが,イベント発症リスクは人種により大きな違いがあり,アジア人に適するリスク算出法が不可欠である。したがって,今回のリスクエンジンの確立は,今後の糖尿病治療方針の決定においても大変有用であると考えられる。【綿田裕孝

●目的 2型糖尿病における大血管合併症および細小血管合併症のリスク算出のためのリスクエンジンを開発し,妥当性を検証した。
●デザイン 臨床試験JDCSおよびJ-EDITデータのプール解析。
●試験期間 追跡期間は7.2年(中央値)。
●対象患者 1748例:JDCSとJ-EDITに参加した,糖尿病合併症のない日本人2型糖尿病患者。平均62.1歳。女性49.9%。平均HbA1c 7.9%。
除外基準:狭心症既往,心筋梗塞,脳卒中,末梢動脈疾患,家族性高コレステロール血症,III型脂質異常症,ネフローゼ症候群,血清クレアチニン>1.3mg/dL,2回のスポット尿におけるアルブミン排泄率≧150mg/gCr,顕微鏡的血尿,他の腎疾患を示唆する臨床所見,前増殖および増殖網膜症,他の眼疾患。
●方法 JDCSとJ-EDITのデータを用いて,Cox回帰モデルにより,致死的および非致死的冠動脈心疾患(CHD),致死的および非致死的脳卒中,非心血管死,顕性腎症(持続性蛋白尿で定義),網膜症の進展のリスクを算出する予測アルゴリズムを作成。
算出した5年リスクの予測精度を交差検証した。
●結果 大血管合併症および細小血管合併症のリスク因子である性別,年齢,HbA1c,診断後年数,BMI,SBP,non-HDL-コレステロール,アルブミン-クレアチニン比,心房細動,現在の喫煙,余暇の運動をリスクエンジンに組み入れた。
観察/予測(O/P)比は,CHD 1.08,脳卒中0.97,非心血管死1.02,顕性腎症1.04,網膜症の進展0.93で,Hosmer-Lemeshow検定では観察イベントと予測イベントに有意な逸脱を認めなかった(UKPDSリスクエンジンはCHDリスクを過大評価:CHDのO/P比0.30,脳卒中のO/P比0.72)。
本研究の日本人患者におけるC統計量は,CHD(0.725),非心血管死(0.696),顕性腎症(0.767)については高いが,脳卒中(0.636)と網膜症の進展(0.614)については中等度であった。
大血管リスクと細小血管リスクを統合すると,低リスク患者および高リスク患者の再分類能は5.7%改善された(P=0.02)。
●結論 本研究で開発したリスクエンジンは,2型糖尿病における大血管合併症と細小血管合併症を正確に予測したことから,リスク分類や医療経済シミュレーションにおいて有用な情報が得られると考えられる。