編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Carter AA, Gomes T, Camacho X, Juurlink DN, Shah BR, Mamdani MM: Risk of incident diabetes among patients treated with statins: population based study. BMJ. 2013; 346: f2610. [PubMed]

数々のメタ解析で,スタチン投与により新規糖尿病の発症が増加することが示されているが,必ずしも一致した結果は得られていない。本研究では,スタチンを力価別に分類し,それぞれの薬剤の新規糖尿病発症リスクを検討している。その結果,力価が強いほど糖尿病発症リスクが高いことが示された。ただし絶対リスクは低いため,多くのスタチン療法適応例では,ベネフィットがリスクを上回るであろう。【綿田裕孝

●目的 異なる種類のHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)投与下の患者において,特定のスタチン使用による新規発症糖尿病リスクを比較した。
●デザイン コホート。
●試験期間 試験期間は14年。解析対象のスタチン服用期間は1997年8月1日~2010年3月31日。
●対象患者 471,250例:66歳以上で,糖尿病の既往のないスタチン新規投与患者。年齢(中央値)は73歳,女性54.1%。
一次予防のためのスタチン使用患者227,994例,二次予防のためのスタチン使用患者243,256例。
●方法 Ontario Drug Benefit(ODB)データベース,Canadian Institute for Health Information discharge abstract database(CIHI-DAD),Ontario Health Insurance Plan(OHIP),Ontario Registered Persons Database(RPDB)の登録データを用い,特定のHMG-CoA還元酵素阻害薬(pravastatin[対照],atorvastatin,fluvastatin,lovastatin,rosuvastatin,simvastatin)使用による糖尿病新規発症のハザード比(HR)をCox比例ハザード回帰を用いて算出。HRは,年齢,性別,登録年,最近の急性冠症候群,慢性冠動脈疾患,チャールストンスコア,および利尿薬(サイアザイド系)・ニトログリセリン・ARB・β遮断薬・ホルモン・ホルモンアナログなどの使用歴により調整。
●結果 糖尿病新規発症リスクは,pravastatin(22.64件/1000人・年)(対照)に比べ,atorvastatin(30.70件/1000人・年,調整HR 1.22,95%信頼区間1.15-1.29),rosuvastatin(34.21件/1000人・年,HR 1.18,1.10-1.26),simvastatin(26.22件/1000人・年,HR 1.10,1.04-1.17)で有意に増加した。fluvastatin(21.52件/1000人・年,HR 0.95,0.81-1.11),lovastatin(21.80件/1000人・年,HR 0.99,0.86-1.14)では,pravastatinと同程度で有意な差も認められなかった。スタチンの一次予防による使用と二次予防による使用でも,同様の結果であった。
スタチンの用量による比較では,中等度の用量(調整HR 1.22,1.19-1.26)および高用量(HR 1.30,1.20-1.40)では,低用量のスタチンに比べ,糖尿病新規発症リスクが上昇した。
スタチンを力価により分類した場合,糖尿病新規発症リスクは,高力価スタチン(rosuvastatin,atorvastatin)で調整HR 1.22(1.15-1.29),中等度力価スタチン(simvastatin)ではHR 1.11(1.04-1.18),低力価スタチン(fluvastatin,lovastatin)ではHR 0.97(0.87-1.09)となった。
●結論 pravastatinに比べ,atorvastatin,simvastatinなどの高力価スタチンは,糖尿病新規発症リスクと関連する可能性が示唆された。