編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Arjona Ferreira JC, Marre M, Barzilai N, Guo H, Golm GT, Sisk CM, Kaufman KD, Goldstein BJ: Efficacy and safety of sitagliptin versus glipizide in patients with type 2 diabetes and moderate-to-severe chronic renal insufficiency. Diabetes Care. 2013; 36: 1067-73. [PubMed]

中等度~重度の慢性腎機能障害を伴う,血糖コントロール不十分の2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬sitagliptinとスルホニル尿素薬glipizideの有効性と安全性を比較した試験である。sitagliptinはその80%が未変化のまま腎臓から排泄される。そのため,腎機能障害の程度により投与量を減ずる必要がある。しかしながら,わが国ではsitagliptinの25mg製剤が用意されなかったため,中等度腎機能障害を伴う例には慎重投与,重度腎機能障害を伴う例には禁忌とされてきた。
本検討で示されたように,中等度~重度の慢性腎機能障害を伴う例にsitagliptinの投与量を減じて使用しても,glipizideとほぼ同等の有効性・安全性が示されたといえる。なお,54週時のeGFRの低下度はsitagliptin群で-3.9mL/1.73m2,glipizide群で-3.3mL/1.73m2と同等であり,中等度から重度腎機能障害に進行した症例の割合もそれぞれ28/149(18.8%),17/154(11.0%)と同程度であった。
最近わが国でもsitagliptinの50mg製剤に半分の割線が入れられ,25mg製剤,また近々12.5mg製剤も上市される見込みである。【片山茂裕

●目的 中等度~重度の慢性腎機能障害を伴う,血糖コントロールの不十分な2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬sitagliptinとスルホニル尿素薬glipizideの有効性と安全性を比較した。
一次エンドポイントはベースラインから54週後におけるHbA1c値の変化,低血糖イベント,有害事象。二次エンドポイントはベースラインから54週後における空腹時血糖値(FPG),体重の変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,パラレル,多国間,非劣性(閾値0.4%),PP解析。
●試験期間 試験期間は54週。
●対象患者 423例:中等度(推算糸球体濾過量[eGFR]≧30,<50mL/分/1.73m2)~重度(eGFR<30mL/分/1.73m2)の慢性腎機能障害を伴う2型糖尿病患者。
登録基準:非透析(試験期間中に透析が必要になる可能性がない),HbA1c値 7.0~9.0%,30歳以上。
除外基準:スクリーニング前12週間以内のインスリンの使用,1型糖尿病,ケトアシドーシスの既往,急性腎疾患,腎移植歴,肝疾患,3ヵ月以内の心血管イベント,肝トランスアミナーゼ上昇が正常上限の2倍以上,甲状腺刺激ホルモンが基準範囲外,トリグリセリド>600mg/dL。
血糖値が以下の基準を満たした患者:visit 2: FPG>260mg/dL(食事/運動療法で改善の見込みなし),visit 3: FPG>250mg/dL(連続値,7日間以内,繰り返し測定で確認),visit 4: FPG>240mg/dL(連続値),visit 5: 指先穿刺による測定で>240mg/dLまたは<120mg/dL。
●方法 2週間の単盲検によるプラセボrun-in期間後,腎機能障害の程度(中等度,重度),心血管疾患の既往の有無,心不全の既往の有無について患者を層別化し,sitagliptin群(211例)とglipizide群(212例)に1:1にランダム化。
sitagliptin群では,中等度腎機能障害の患者にはsitagliptin 50mg/日(25mg,2錠)またはプラセボ,重度腎機能障害の患者にはsitagliptin 25mg/日(25mg,1錠)またはプラセボを投与。
glipizide群では,glipizide(初回用量2.5mg/日から,血糖コントロールなどを考慮した医師の判断により20mg/日まで漸増)またはプラセボを投与。
●結果 一次エンドポイントである54週後におけるHbA1c値の平均変化量は,sitagliptin群-0.8%,glipizide群-0.6%(群間差-0.11%,95%CI -0.29 to 0.06)であり,95%CIの上限が事前に設定された非劣性マージン(0.4%)を下回ったため,sitagliptinのglipizideに対する非劣性が示された。
症候性低血糖イベントはsitagliptin群6.2%,glipizide群17.0%と有意な群間差が認められた(p=0.001)。
忍容性は試験期間を通じて両群で同程度であり,全有害事象の発生はsitagliptin群68.1%,glipizide群72.2%,有害事象による治療中止は7.6%,8.0%であった。
54週後のFPGの平均変化量は,sitagliptin群(136例)で-17.5mg/dL(95%CI -24.5 to -10.5),glipizide群で-24.6mg/dL(95%CI -31.5 to -17.8)と両群ともに低下したが,有意な群間差は認められなかった(7.1mg/dL,95%CI -1.9 to 16.1)。
54週後の体重はsitagliptin群(143例)で-0.6kg,glipizide群(148例)で+1.2kgと有意な群間差が認められた(群間差-1.8kg,p<0.001)。
●結論 慢性腎機能障害を伴う2型糖尿病患者において,HbA1c低下効果はsitagliptinとglipizideで同様であった。sitagliptinはglipizideに比べ,低血糖リスクが低く,体重を減少させ,忍容性も概して良好であった。