編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ikramuddin S, Korner J, Lee WJ, Connett JE, Inabnet WB, Billington CJ, Thomas AJ, Leslie DB, Chong K, Jeffery RW, et al.: Roux-en-Y gastric bypass vs intensive medical management for the control of type 2 diabetes, hypertension, and hyperlipidemia: the Diabetes Surgery Study randomized clinical trial. JAMA. 2013; 309: 2240-9. [PubMed]

Look AHEAD試験などでも,生活習慣改善による体重減少が血糖コントロールに重要なことが示されている。しかしながら,生活習慣の改善を長期間にわたり維持することは困難であることも明らかである。今回のRoux-en-Y胃バイパス手術により,HbA1c<7.0%+LDL-C<100mg/dL+SBP<130mmHgを達成した患者の割合は49%であり,従来のLook AHEAD試験での23.6%よりはるかに多かった。有害事象とのバランスを考慮しながらであるが,わが国でも生活習慣改善+薬物療法が奏功しない中等度以上の肥満者では,胃バイパス手術が治療選択肢のひとつになっていくかもしれない。【片山茂裕

●目的 標準的な薬物治療で血糖コントロール不良の2型糖尿病患者を対象に,Roux-en-Y胃バイパス手術と生活習慣改善+薬物療法の合併症発症リスク因子のコントロール達成度を比較した。
主要アウトカムは,HbA1c<7.0%+LDL-コレステロール(C)<100mg/dL+収縮期血圧(SBP)<130mmHgの達成。
●デザイン 無作為,多施設(米国と台湾の4施設)。
●試験期間 登録期間は2008年4月~2011年12月。追跡期間は12ヵ月。
●対象患者 120例:生活習慣改善および薬物療法による体重コントロールプログラムに参加している2型糖尿病患者。平均HbA1c 9.6±1.1%。
登録基準:30~67歳,2型糖尿病の治療歴≧6ヵ月,HbA1c≧8.0%,liquid mixed meal摂取90分後の血清C-ペプチド>1.0ng/mL,BMI 30.0~39.9。
●方法 対象患者をRoux-en-Y胃バイパス手術群(60例),生活習慣改善+薬物療法継続群(60例)に無作為割付けし,HbA1c<7.0%+LDL-C<100mg/dL+SBP<130mmHgを達成した患者の割合を比較。
すべての患者に,体重・食事・身体活動の記録,325分/週の中程度の身体活動,1200~1800kcalのカロリー摂取,カウンセラーとのディスカッションからなるライフスタイル介入を実施(胃バイパス手術群では手術からの回復後に開始)。
生活習慣改善+薬物療法継続群では,ライフスタイル介入による十分な効果が得られない場合に,抗肥満薬orlistat/sibutramine,血糖コントロール・LDL-C・血圧治療のための薬剤を追加。
すべての患者で定期的に栄養欠乏の検査を行い,必要に応じてサプリメントを処方。胃バイパス手術群の患者にはマルチビタミンとミネラルのサプリメントを処方。
●結果 12ヵ月後の主要アウトカム達成率は,胃バイパス手術群28例(49%,95%CI 36-63),生活習慣改善+薬物療法継続群11例(19%,95%CI 10-32)であった(オッズ比4.8,95%CI 1.9-11.7)。
胃バイパス手術群では生活習慣改善+薬物療法継続群に比し,投与薬剤数が3.0剤少なく(平均1.7剤 vs 4.8剤,群間差の95%CI 2.3-3.6),体重の減少が17.5%多かった(26.1% vs 7.9%,群間差の95%CI 14.2-20.7)。
回帰解析では,主要アウトカム達成は主に,体重減少によるものであることが示唆された。
重篤な有害事象は,胃バイパス手術群22件(うち心血管イベント1件),生活習慣改善+薬物療法継続群15件であった。周術期合併症は4件,術後晩期合併症は6件であった。栄養欠乏症は胃バイパス手術群で多かった。
●結論 軽度~中等度肥満の2型糖尿病患者において,生活習慣改善+薬物療法へのRoux-en-Y胃バイパス手術追加により,HbA1c,LDL-C,SBPのコントロールが改善したが,重篤な有害事象リスクとのバランスを考慮する必要がある。