編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ly TT, Nicholas JA, Retterath A, Lim EM, Davis EA, Jones TW: Effect of sensor-augmented insulin pump therapy and automated insulin suspension vs standard insulin pump therapy on hypoglycemia in patients with type 1 diabetes: a randomized clinical trial. JAMA. 2013; 310: 1240-7. [PubMed]

1型糖尿病患者を対象に,センサーでとらえた低血糖時にインスリン注入を停止する機能付きのインスリンポンプ(sensor augmented insulin pump:SAP)療法と,通常のインスリンポンプ療法に無作為に割り付け,低血糖のリスクを比較検討した研究である。その結果,SAP療法においては,重症~中等症の低血糖が有意に低下した。
本研究の結果は当然のようであるが,低血糖をリアルタイムCGMで24時間計測し,低血糖もしくは低血糖を起こすリスクが高いと器機が判断し,インスリン注入を自動停止するSAP器機の有用性が,片群50例以下の小さなサンプルサイズの臨床研究で示された意義は大きい。
同様の報告はNew England Journal of Medicine誌にも掲載されているが,同様の報告が続くということは,このSAP技術は1型糖尿病において明らかに低血糖を減少させる効果があることを物語っている。
このSAP器機がより安価にかつより容易になって普及した際には,1型糖尿病患者のQOLが劇的に向上すると思われる。【西村理明

●目的 1型糖尿病患者において,センサーでとらえた低血糖時にインスリン注入を停止する機能付きのインスリンポンプ(SAP)療法と標準インスリンポンプ療法の重症・中等症低血糖の発症頻度を比較した。
一次エンドポイントは重症・中等症低血糖の複合発症率。重症低血糖は低血糖による痙攣または昏睡,中等症低血糖は他者の介助を必要とする低血糖イベントと定義。
サブグループ解析(12~16歳)では,低血糖クランプ法を用いて低血糖に対して血糖上昇に作用するホルモン反応を評価した。
●デザイン 無作為,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2009年12月~2012年1月。試験期間は6ヵ月。
●対象患者 95例:4~50歳の1型糖尿病患者。平均18.6歳。
採用基準:糖尿病診断後1年以上が経過していること,インスリンポンプ治療を6ヵ月以上受けていること,HbA1c≦8.5%,低血糖による意識障害を起こした経験があること。
除外基準:すでにSAP治療を受けていること,妊娠。
●方法 対象患者をSAP療法群(46例)と標準インスリンポンプ療法群(49例)にランダム化。
すべての患者で,ランダム化の3ヵ月前およびベースライン外来の1ヵ月前にスクリーニングを実施。ベースライン外来の3ヵ月後および6ヵ月後に2回の外来診療を実施。ベースライン外来と追跡期間中の外来時に,持続血糖測定装置(リアルタイムに血糖値をみれないもの)を用いて6日間の血糖値を測定し,低血糖に陥った時間を評価。
●結果 ベースラインでの低血糖発症頻度は,標準インスリンポンプ療法群で20.7件/100人・月(95%信頼区間[CI] 13.8-30),SAP療法群で129.6件/100人・月(111.1-150.3)であった。6ヵ月後,低血糖イベント発症数は,標準インスリンポンプ療法群で28件から13件へ,SAP療法群で175件から35件に減少した。調整後の発症頻度(/100人・月)は,それぞれ34.2件(22.0-53.3),9.5件(5.2-17.4)で,発症頻度比は3.6(1.7-7.5,P<0.001)であった。
治療前後の平均HbA1cおよび低血糖に対するエピネフリン反応には群間差は認められなかった。また,糖尿病性ケトアシドーシスおよびケトーシスに伴う高血糖もみられなかった。
●結論 1型糖尿病患者において,SAP療法は重症・中等症低血糖の発症を減少させた。