編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Goldfine AB, Fonseca V, Jablonski KA, Chen YD, Tipton L, Staten MA, Shoelson SE; Targeting Inflammation Using Salsalate in Type 2 Diabetes Study Team : Salicylate (salsalate) in patients with type 2 diabetes: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013; 159: 1-12. [PubMed]

サリチル酸塩(salicylate)は,アセチル化したアスピリンがcyclooxygenase(COX)の阻害薬として広く用いられている。しかしながら,鎮痛薬としてわずかに使われてきたサリチル酸塩の有効性や安全性の成績は乏しい。最近サリチル酸塩の血糖低下作用が報告され,用量設定試験がTINSAL-T2D (Targetting Inflammation using Salsalate in Type 2 Diabetes)として行われた。今回の検討は1年間の有効性や安全性に関するTINSAL-T2Dの第II相試験で,HbA1cで0.37%の低下がみられた。好中球の減少などから抗炎症作用が示唆され,アディポネクチンの上昇や,尿酸,トリグリセリドの低下など,興味深い点も見受けられた。ただし,体重やLDL-コレステロール,尿中アルブミンの上昇なども示されており,さらなる検討が必要である。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,非ステロイド抗炎症薬salsalateの有効性と安全性を検討した(TINSAL-T2Dのステージ2)。
主要評価項目は,HbA1cの変化。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設(米国,21施設)。
●試験期間 追跡期間は48週。試験期間は2009年1月~2011年7月。
●対象患者 286例:2型糖尿病患者。男性54.5%,平均55.8±9.6歳,平均BMI 33.3kg/m2,平均糖尿病罹病期間4.9年。
登録基準:18~75歳,糖尿病治療下で空腹時血糖≦225mg/dLおよびHbA1c 7.0~9.5%。
除外基準:インスリン,チアゾリジンジオン,GLP-1受容体作動薬,非ステロイド抗炎症薬,ワルファリン,尿酸排泄促進薬の使用。
●方法 1週間のスクリーニング,4週間のrun-in期間後,対象患者をsalsalate 3.5g/日群(146例),プラセボ群(140例)に無作為割り付け。
全例に通常の治療を実施。
スクリーニング期間,run-in期間,無作為化時,追跡開始後4,8,12,16,24,36,48週後に外来で安全性,アドヒアランス,治療効果を追跡。
●結果 48週後の平均HbA1cは,salsalate群でプラセボ群より0.37%低下した(95%CI-0.53 to -0.21%,p<0.001)。salsalate群ではプラセボ群に比し,併用糖尿病治療薬が減少したのにもかかわらず,血糖コントロールが改善した。
salsalate群では,循環血中の白血球数,好中球数,リンパ球数が減少したことから,salsalateの抗炎症作用が示された。
salsalate群はプラセボ群に比し,アディポネクチンとヘマトクリットが上昇し,空腹時血糖,尿酸,トリグリセリドが低下したが,体重とLDL-Cが上昇した。さらにsalsalate群では,尿中アルブミンが上昇し(投与中止により回復),糸球体濾過量には変化がなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,salsalateは血糖コントロールを改善し,炎症性メディエーターを低下させたが,心腎症状には注意が必要である。