編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mashitani T, Hayashino Y, Okamura S, Tsujii S, Ishii H: Correlations between serum bilirubin levels and diabetic nephropathy progression among Japanese type 2 diabetic patients: a prospective cohort study (Diabetes Distress and Care Registry at Tenri [DDCRT 5]). Diabetes Care. 2014; 37: 252-8. [PubMed]

血清ビリルビン値が糖尿病腎症と関連するとする成績は,今までにもいくつか報告されている。今回のDiabetes Distress and Care Registry at Tenri(DDCRT)コホートにおける検討でも,血清ビリルビン値と糖尿病腎症進展は負の関連にあることが確認された。その機序は本検討からは不明であるが,ビリルビンが脂質の過酸化に対してantioxidantとして抗酸化的に作用することが推測される。ヘモグロビンとの関連は,ビリルビンはヘムの代謝産物であり,貧血があればビリルビンは低値となり,また抗酸化作用も低下するため,糖尿病腎症の進展が早まると考えられる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,血清ビリルビン値と糖尿病腎症の発症・進展との関連を検討した。
●デザイン コホート,単施設(日本),前向き。
●試験期間 登録期間は2009年10月~2010年8月。追跡期間(中央値)は503.4日。
●対象患者 2,511例:2型糖尿病患者。平均年齢65.2歳,HbA1cは7.5%,BMIは24.7kg/m2
除外基準:認知症,知的障害(mental retardation),統合失調症,視覚障害,健康状態不良,その他の併存疾患。
●方法 正常アルブミン尿(尿中アルブミン・クレアチニン比[UACR]<3.4mg/mmol)から微量アルブミン尿(UACR 3.4~33.9mg/mmol)または顕性アルブミン尿(UACR≧33.9mg/mmol)への移行を「糖尿病腎症の発症」,微量アルブミン尿から顕性アルブミン尿への移行を「糖尿病腎症の進展」と定義。
対象患者を,血清総ビリルビン値の四分位ごとに分け(Q1[対照:3.4~6.8μmol/L]:686例,Q2[8.6~10.3μmol/L]: 891例,Q3[12.0~13.7μmol/L]: 509例,Q4[15.4~61.6μmol/L]:425例),ロジスティック回帰モデルを用いて,糖尿病腎症進展のオッズ比(OR)を算出した。
●結果 ベースラインでの血清ビリルビン値は,ベースライン時および1年後のUACRと関連していた。糖尿病腎症進展のORは,性別,年齢,糖尿病罹病期間,追跡時間,BMI,収縮期血圧,飲酒・喫煙,HbA1c,log-transformed UACR,RAS阻害薬・スタチンの使用による調整後には,血清総ビリルビン値がQ1の患者に比べ,Q2の患者では0.89(95%信頼区間0.49-1.58),Q3では0.93(0.47-1.83),Q4では0.35(0.13-0.84)と四分位間での有意なlinear trendが認められたが(p for trend=0.032),さらにヘモグロビン値で調整すると,その有意性は消失した(p for trend=0.130)。
●結論 2型糖尿病患者において,血清ビリルビン値は糖尿病腎症進展と関連し,その関連は潜在的交絡因子とは独立したものだった。血清ビリルビン値は,糖尿病腎症進展とヘモグロビン値との関連に影響する可能性が示唆された。