編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sone H, Tanaka S, Tanaka S, Iimuro S, Oida K, Yamasaki Y, Oikawa S, Ishibashi S, Katayama S, Ohashi Y, et al.; Japan Diabetes Complications Study Group : Serum level of triglycerides is a potent risk factor comparable to LDL cholesterol for coronary heart disease in Japanese patients with type 2 diabetes: subanalysis of the Japan Diabetes Complications Study (JDCS). J Clin Endocrinol Metab. 2011; 96: 3448-56. [PubMed]

わが国の2型糖尿病患者の重要な疫学的検討である。厚労省の死因別死亡率と同じく,糖尿病患者においても,CHDの方が脳卒中より多くなり,この意味ではわが国の疾病構成も欧米化してきたといえる。ただ,心筋梗塞と脳梗塞を比べると,まだまだ脳梗塞が多く,心筋梗塞の1.64倍であることは心に留めておく必要がある。脳梗塞では,年齢以外には,収縮期血圧が唯一のリスク因子であった。最近改訂された高血圧治療ガイドライン(JSH2014)では,2型糖尿病患者の脳梗塞をさらに減少させるために,わが国での降圧目標が130/80mmHg未満に据え置かれた。
LDL-CおよびトリグリセリドがCHDの有意なリスク因子であることは,欧米でも報告があるが,東アジア人であるわが国での今回の結果は,トリグリセリドがLDL-Cと同程度の影響をCHDに与えていることが欧米との大きな差異である。スタチンの有効性は広く検討されているが,フィブラートの有効性は欧米ではあまりり明らかでなく,東アジア人での検討も必要かもしれない。【片山茂裕

●目的 日本人の2型糖尿病患者において,冠動脈疾患(CHD)と脳卒中の発症およびリスク因子の関連を検討した。アウトカムはCHDまたは脳卒中。
●デザイン 観察研究,多施設(日本の59施設)。
●試験期間 登録期間は1995年1月~1996年3月。追跡期間は平均7.86年(11,743人-年)。
●対象患者 1,771例:日本人の2型糖尿病患者で,心血管合併症のない例。平均58.2歳。
除外基準:耐糖能異常,狭心症,心筋梗塞,脳卒中,末梢動脈疾患,家族性高コレステロール血症,III型脂質異常症,ネフローゼ症候群,血清クレアチニン値≧1.3mg/dL。
●方法 対象患者をCHD群,脳卒中群,非CHD群の3群に分け,多変量Cox回帰分析にてリスク因子のハザード比を評価した。
●結果 追跡期間中の発症率は,CHDは9.59件/1000人-年,脳卒中は7.45件/1000人-年,心筋梗塞は3.84件/1000人-年,脳梗塞は6.29件/1000人-年であった。
性別,年齢,糖尿病罹病期間,BMI,収縮期血圧(SBP),HbA1c,LDL-C,HDL-C,トリグリセリド,喫煙状況,アルコール摂取を調整後,もっとも顕著かつ強力なCHDのリスク因子はLDL-Cおよび対数変換トリグリセリドの血清レベルであった(LDL-C:HR 1.54,95%CI 1.22-1.94 /1SD,トリグリセリド:HR 1.49,95%CI 1.25-1.78/1SD)。HbA1cおよびSBPは統計学的な有意性は境界領域であった(P<0.1)。
トリグリセリドおよびLDL-Cは線形かつ連続的にCHDリスクを増大させ,トリグリセリドおよびLDL-Cが上位3分の1の値にある患者はCHDリスクが顕著に高く,その影響は相加的であった。一方,血清トリグリセリドが上位3分の1の患者では,SBP値にかかわらずCHDリスクが有意に高く,血圧レベルとは独立して作用していた。
脳卒中に関しては,年齢を除くと,SBPは唯一の有意なリスク因子であった(HR 1.31,95%CI 1.04-1.65)。
●結論 日本人の2型糖尿病患者において,血清トリグリセリド値は,LDLと同様にCHDの主要なリスク因子であることが示された。欧米人の2型糖尿病患者ではトリグリセリドはCHDの主要なリスク因子ではないことから,トリグリセリドは人種特異的な糖尿病大血管障害の予防に重要であることが示唆された。