編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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de Zeeuw D, Coll B, Andress D, Brennan JJ, Tang H, Houser M, Correa-Rotter R, Kohan D, Lambers Heerspink HJ, Makino H, et al.: The Endothelin Antagonist Atrasentan Lowers Residual Albuminuria in Patients with Type 2 Diabetic Nephropathy. J Am Soc Nephrol. 2014; [PubMed]

エンドセリンA (ETA) 受容体拮抗薬は,わが国ではbosentanとambrisentanが動脈性肺高血圧症の治療薬として認可を受けている。その血管拡張作用(糸球体の血管拡張も期待される),抗炎症作用,抗線維化作用などから腎保護作用も期待されるが,浮腫や心不全などの有害事象が問題とされる。今回のわが国や台湾を含めた第II相試験は,蛋白尿を有する2型糖尿病患者で少量のatrasentanを用いて行われた。この結果,アルブミン尿が各用量で約35%減少することが示され,浮腫・心不全は0.75mg/日の用量では低頻度であった。アルブミン尿改善作用・降圧作用・脂質改善作用(その機序は不明)とその安全性が示唆されたことより,第III相試験が開始されており,その結果がまたれる。【片山茂裕

●目的 糖尿病腎症でRAS阻害薬投与下の患者において,低用量の選択的エンドセリンA (ETA) 受容体拮抗薬であるatrasentan(0.75mg,1.25mg)のアルブミン尿およびその他の腎リスク関連指標に対する有効性および安全性について検討した。
有効性の一次エンドポイントは,ベースラインから12週間後の尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)の変化。
●デザイン 2つのランダム化比較試験(二重盲検,プラセボ対照,第IIb相,intention-to-treat解析,多施設[2試験合わせて93施設,アメリカ,カナダ,台湾,日本])の統合解析。
●試験期間 試験期間は12週。
●対象患者 211例:腎症を伴う2型糖尿病で,血糖降下薬+RAS阻害薬を12ヵ月間使用中の患者。
スクリーニング時の採用基準:早朝第一尿採取のUACR≧300mgかつ≦3500mg/g,推算糸球体濾過量30~75mL/分/1.73m2,脳性ナトリウム利尿ペプチド<200pg/mL,ヘモグロビン>9g/dL,血清アルブミン>3g/dL。
run-in期間終了時の採用基準:収縮期血圧(SBP)安定値(110~160mmHg),血清カリウム値<5.5mEq/L,UACR>200mg/g。女性の場合は,非妊娠,閉経後1年以上経過,手術により妊孕力を喪失している者。
除外基準:中等度/重度浮腫の既往,肺水腫,肺高血圧,心不全,ループ利尿薬による治療をうけている者(furosemide>120mg/日,bumetanide>3mg/日,エタクリン酸>150mg/日,torasemide>60mg/日),最近の冠動脈疾患。
●方法 4~12週間のrun-in期間後,対象患者をプラセボ群(50例),atrasentan 0.75mg/日群(78例),atrasentan 1.25mg/日群(83例)にランダム化(study 1は1:2:2,study 2は1:1:1)。
●結果 一次エンドポイントであるベースラインから12週間後の対数変換UACRの変化は,プラセボ群に比べ,atrasentan 0.75mg群で35%(95%CI 24-45)低下,atrasentan 1.25mg群で38%(95%CI 28‐47)低下した。アルブミン尿≧30%の低下は,プラセボ群13%,atrasentan 0.75mg群51.3%(p<0.001),atrasentan 1.25mg群55.1%(p<0.001)であった。
推算糸球体濾過量と診察室血圧に群間差はみられなかったが,24時間SBP(atrasentan 0.75mg群:-4.5mmHg,p=0.03,atrasentan 1.25mg群:-5.4mmHg,p=0.01),24時間DBP(-4.2mmHg,-4.6mmHg,いずれもp<0.001),LDL-C(いずれも14.6mg/dL,いずれもp<0.001),およびトリグリセリド(-30.2mg/dL,p=0.11,-47.9mg/dL,p=0.01)は,プラセボ群に比べ,atrasentan両群で低下した。
atrasentan両群で有意な体重増加およびヘモグロビン減少を示したが,末梢浮腫,心不全およびその他の副作用については有意な群間差を認めなかった。
有害事象による治療中止は,atrasentan 1.25mg群で他の群よりも多かった。
●結論 腎症を伴う2型糖尿病でRAS阻害薬投与下の患者において,atrasentanはアルブミン尿を減少させ,血圧および脂質スペクトルを改善した。