編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sugiyama T, Metoki H, Hamada H, Nishigori H, Saito M, Yaegashi N, Kusaka H, Kawano R, Ichihara K, Yasuhi I, et al.; Japan Gestational Diabetes Study Group : A retrospective multi-institutional study of treatment for mild gestational diabetes in Japan. Diabetes Res Clin Pract. 2014; 103: 412-8. [PubMed]

レトロスペクティブの検討ではあるが,妊娠糖尿病治療にひとつの示唆を与える結果である。妊娠前のBMIが25以上であれば,妊娠糖尿病に注意を払うこと,さらに妊娠中の体重増加を抑えることが求められる。
日本人女性では,BMIの値に関しては配慮が必要である。BMI 25は,身長155cmでは60kg,身長160cmでは64kgに相当する。身長を考慮したうえでの「肥満」の判断が必須となろう。【河盛隆造

●目的 日本における軽度妊娠糖尿病の治療は妊娠アウトカムを改善するかを検討した。
エンドポイントは周産期死亡率+母体高血糖関連の合併症(先天性奇形,在胎不当過大[LGA],巨大児,低血糖,高ビリルビン血症,肩甲難産,呼吸窮迫症候群[RDS],新生児集中治療処置室への入院)の複合。
●デザイン レトロスペクティブ,多施設(30施設,日本)。
●試験期間 登録期間は2006~2010年。
●対象患者 893例:軽度妊娠糖尿病患者(75g OGTTの異常値≧1回,空腹時血糖値≧100mg/dL,食後1時間血糖値≧180mg/dL,または食後2時間血糖値≧150mg/dL)。
採用基準:単胎妊娠,糖尿病の診断歴なし。
除外基準:多胎妊娠,妊娠前の糖尿病,妊娠糖尿病に対する治療歴,進行中の慢性全身性疾患(慢性高血圧症を除く),同年2度目の妊娠。
●方法 対象患者を,介入実施群(食事療法群[172例,通常の産科ケアに加え,登録栄養士による食事療法],食事療法+血糖自己測定群[178例,通常の産科ケアに加え,登録栄養士による食事療法および血糖自己測定を実施し,目標血糖値が得られない場合にはインスリンを投与]),非介入実施群(543例,通常の産科ケアのみ)に分けて解析した。通常の産科ケアは,全群で同様に実施。
●結果 周産期死亡は両群ともに認められなかった。出生時体重,LGAおよび巨大児の割合,RDS,低血糖症について介入群と非介入群で有意な差を認めなかった。黄疸は,食事療法群,食事療法+自己血糖測定群,非介入実施群の3群間での有意な差を認めなかった。
介入実施群(食事療法群,食事療法+自己血糖測定群)で非介入実施群に比べてLGAの割合が低い傾向がみられたため(非介入実施群13.1%,食事療法群8.7%,食事療法+自己血糖測定群9.6%),LGA児と軽度妊娠糖尿病との関連について多変量ロジスティック回帰分析を実施したところ,LGA児と妊娠前のBMI(オッズ比1.853,p=0.00001)および妊娠期間中の体重増加(オッズ比1.146,p=0.00001)との関連が示されたが,75gOGTT値(p=0.5620)はLGA児と関連しなかった。
過体重または肥満女性(BMI≧25kg/m2)のサブグループでは,妊娠期間中の体重増加は介入実施群の患者のほうが有意に少なく(4.6kg vs. 6.6kg,p=0.01),介入実施群におけるLGA児の割合は非介入実施群にくらべて有意に少なかった(9.1% vs. 25.5%,p=0.02)。
●結論 妊娠期間中の母体のBMIは胎児成長に影響し,過体重/肥満の母体の治療はLGA児の割合を減少させることが示唆された。