編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Linz PE, Lovato LC, Byington RP, O'Connor PJ, Leiter LA, Weiss D, Force RW, Crouse JR, Ismail-Beigi F, Simmons DL, et al.: Paradoxical reduction in HDL-C with fenofibrate and thiazolidinedione therapy in type 2 diabetes: the ACCORD Lipid Trial. Diabetes Care. 2014; 37: 686-93. [PubMed]

フェノフィブレートはトリグリセリド濃度を低下させ,HDL-C濃度を増加させることが知られている。チアゾリジン薬もHDL-C濃度を増加させる。しかしながら,今回のACCORD試験では,フェノフィブレートおよびチアゾリジン薬の両剤で治療した患者では,特異的に著しいHDL-C濃度の低下が生じうることが明らかになった。アポリポタンパク質A-Iや PPARα遺伝子の変異,HDL-Cの異化に関わるスカベンジャー受容体B1 (SRB1),レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT), コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)などの異常も考えられるが,その詳しい発症機序は明らかではない。
事後解析でHDL-C<25 mg/dLの症例では全死亡の発症率が高いことが示されたが,必ずしもフェノフィブレートの投薬の有無とは関連しなかった。
さしあたっては,両薬剤の併用でHDL-C濃度の著しい低下が生じた症例では,どちらか一方の薬剤を中止し,HDL-C濃度が前値まで増加することを確認することが勧められる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者における重度の低HDL-C(<25mg/dL)血症の発症を調査し,フェノフィブレートおよびチアゾリジン薬による治療との関連を検討した。ACCORD Lipid Trialの事後解析。
一次エンドポイントは低HDL-C血症の発症。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国およびカナダの77施設)。
●試験期間 登録期間は2001年1月11日~2005年10月29日,追跡終了は2009年3月1日~6月30日。追跡期間は平均4.7年。
●対象患者 5518例:ACCORD試験参加者10,251 例のうち心血管疾患(CVD)の高リスク例。
登録基準:LDL-C 60~80mg/dL,HDL-C<55mg/dL(女性および黒人)・<50mg/dL(その他),トリグリセリド<750mg/dL(脂質治療あり)・<400mg/dL(脂質治療なし)。
除外基準:スタチンまたはフェノフィブレートに影響のある薬剤の使用,膵炎・筋炎・筋疾患・胆嚢疾患の既往,現在の脂質異常症治療に対する変更の拒絶。
●方法 全例にsimvastatinを投与し,フェノフィブレート群(2,765例)とプラセボ群(2,753例)に無作為化。
治療薬の使用と,無作為化後24ヵ月および48ヵ月の時点での低HDL-C血症との関連を解析した。
●結果 ACCORD試験の患者のうち追跡期間中に重度のHDL-C低値を発症したのはフェノフィブレート群で106%高かった(10.1%フェノフィブレート群 vs 4.9%プラセボ群,p<0.001)。低HDL-C血症発症はフェノフィブレートおよびチアゾリジン薬による治療(無作為化後48ヵ月時点で,両薬剤投与7.0% vs 両薬剤非投与2.2%)と関連があった。
●結論 フェノフィブレートおよびチアゾリジン薬の両剤で治療した患者では,特異的に著しいHDL-Cの低下が生じうる。実地医家はこの重要な潜在的特異反応を認識し,適切な正しい行動をとるべきである。