編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Zhang Y, McCoy RG, Mason JE, Smith SA, Shah ND, Denton BT: Second-line agents for glycemic control for type 2 diabetes: are newer agents better? Diabetes Care. 2014; 37: 1338-45. [PubMed]

本論文は,米国の民間保険に加入している2型糖尿病患者で,5年以上の薬物療法の記録が利用可能である37,000例を超える症例において,metformin単独治療開始後に,二次選択薬としてSU薬,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬,インスリンを使用した場合の生存年(LY),生活の質で調整した生存年(QALY),インスリン依存となるまでの期間,費用などを比較した研究である。
その結果,二次療法としてどの治療法を選択しても,LYとQALYには差がないことが示された。しかしながら,費用を比較するとSU薬を使用した場合に有意に低いことが明らかになった。
本研究はmetformin単独治療開始後に次のステップの経口血糖降下薬を追加しなければならない場合には,費用を重視するのであればSU薬がファーストチョイスになることを明示した点で重要な研究である。
個人的意見であるが,SU薬は安価であるものの,低血糖を起こすリスクが高く,体重増加も避けられない薬剤である。今回の検討は5年間という期間で行われているが,もっと長期間で同様の研究を行えば,結果は異なってくる可能性もある。このような研究の蓄積をまって最終的な結論を導き出す必要があるだろう。【西村理明

●目的 2型糖尿病患者において,metforminの二次治療としての4種類の血糖降下治療の臨床的有効性,QOL,費用を検討した。
●デザイン Marcovモデルを用いたシミュレーション分析。
●試験期間 -
●対象患者 37,501例:≧40歳の2型糖尿病患者。
登録基準:1995~2010年の2型糖尿病の診断,インスリン以外の血糖降下薬の初回処方が登録後6ヵ月以上経過時,2回以上のHbA1c評価データと完全な薬局請求データがある5年以上の登録。
●方法 民間保険加入の米国の2型糖尿病患者のデータを用いて,metformin単独治療開始後のHbA1c進展の自然変動をシミュレートする集団ベースの血糖コントロールについてのMarkovモデルを構築。
二次治療は,metformin+スルホニル尿素(SU)薬+インスリン(T1),metformin+DPP-4阻害薬+インスリン(T2),metformin+GLP-1受容体作動薬+インスリン(T3),metformin+インスリン(T4)とし,生存年(LY),生活の質で調整した生存年(QALY),インスリン依存となるまでの期間,糖尿病診断から初回糖尿病合併症(虚血性心疾患,心筋梗塞,うっ血性心不全,脳卒中,失明,腎不全,切断)発症または死亡までのQALYあたりの推定薬剤費用を比較。
●結果 すべての二次治療は,血糖コントロール目標達成率にかかわらず,LYとQALYが同等であった。
QALYあたりの費用はT1で有意に低く,インスリン依存となるまでの期間はT1で有意に延長した。
目標HbA1cを7%とすると,8%とした場合に比し,すべての治療でQALYが延長した。
●結論 2型糖尿病患者において,二次治療にSU薬を用いると,DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬を用いた場合に比し,到達した血糖コントロールレベルとQALYは同等であったが,費用が低下した。HbA1cと糖尿病合併症を組み込んだモデルは,治療選択において有用な臨床的ツールになると考えられる。