編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Raz I, Ziegler AG, Linn T, Schernthaner G, Bonnici F, Distiller LA, Giordano C, Giorgino F, de Vries L, Mauricio D, et al.; DIA-AID 1 Writing Group : Treatment of recent-onset type 1 diabetic patients with DiaPep277: results of a double-blind, placebo-controlled, randomized phase 3 trial. Diabetes Care. 2014; 37: 1392-400. [PubMed]

DiaPep277は,1型糖尿病モデルマウスにおいて免疫細胞による膵β細胞の障害を抑制することが明らかにされ,ヒトを対象とした第II相試験でもインスリン分泌能を保持する作用があることが示唆されている。
今回の第III相試験では,DiaPep277がグルカゴン負荷時のCペプチド分泌能の低下を抑制したことは非常に重要な知見である。早期に投与することで,1型糖尿病における膵β細胞の機能廃絶を抑制できる可能性を示唆しており,臨床応用の早期実現が期待される。【綿田裕孝

●目的 1型糖尿病患者のβ細胞機能維持における,ヒト熱ショックタンパク質由来ペプチドDiaPep277の安全性と有効性を評価した。
主要エンドポイントはグルカゴン刺激後20分時点におけるC-ペプチドの曲線下面積(AUC0-20)のベースラインからの変化。二次エンドポイントは混合食刺激後120分時点におけるC-ペプチド分泌の曲線下面積(AUC0-120),空腹時C-ペプチドのベースラインからの変化,目標HbA1c≦7%(≦53mmol/mol)の達成。探索的エンドポイントは部分寛解(インスリン≦0.5units/kg/日投与下でHbA1c≦7%維持)と低血糖イベント発生率。
●デザイン 無作為化,二重盲検,プラセボ対照,並行群間,多施設(欧州,イスラエル,南アの46施設),第III相。有効性のエンドポイントはmodified ITT解析とPP解析,安全性のエンドポイントはITT解析。
●試験期間 追跡期間は2005年9月~2009年5月。
●対象患者 457例:新たに1型糖尿病と診断された患者。16~45歳。
登録基準:診断後インスリン治療中であること,空腹時C-ペプチド値≧0.22nmol/L,糖尿病関連自己抗体(IA-2蛋白チロシン脱リン酸化酵素,グルタミン酸脱炭酸酵素,あるいはインスリン抗体)のうちすくなくとも1つは陽性,BMI 17~28 kg/m2
除外基準:妊娠,治療反応に影響しうる重大な疾患,臨床的に重大な免疫不全症,免疫抑制薬ないし細胞毒性薬による治療。
●方法 患者をDiaPep277治療群またはプラセボ群に1:1で無作為割り付けし,2年間,四半期ごと(0,1,3,6,9,12,15,18,21ヵ月目)に皮下注射を実施。DiaPep277治療群では,DiaPep277 1mg+マンニトール40mg,プラセボ群ではマンニトール40mgのみを投与。
●結果 DiaPep277は安全で忍容性は良好であった。
DiaPep277治療群のほうがプラセボ群よりも有意にC-ペプチド分泌の維持が認められた(mITT例:相対治療効果23.4%,p=0.037,PP例:それぞれ29.2%,p=0.011。
混合食刺激後のCペプチド分泌は両群間で有意な差がなかった。統計学的には有意ではなかったが,空腹時C-ペプチド値は両群間で20%の治療効果の差がみられた。プラセボ群よりもDiaPep277治療群のほうが有意に目標HbA1cを維持し(mITT例:DiaPep277群56% vs プラセボ群44%,p=0.03,PP例:60% vs 45%,p=0.0082),部分寛解となった症例も多かった(mITT例:38% vs 19%,p=0.08,PP例:42% vs 30% p=0.035)。
DiaPep277治療は関連する低血糖イベントリスクを低下させた(mITT例 20%,PP例28%)。
●結論 DiaPep277の安全は高く,1型糖尿病におけるβ細胞機能の維持と,血糖コントロールの改善に貢献することが示唆された。