編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kohan DE, Fioretto P, Tang W, List JF: Long-term study of patients with type 2 diabetes and moderate renal impairment shows that dapagliflozin reduces weight and blood pressure but does not improve glycemic control. Kidney Int. 2014; 85: 962-71. [PubMed]

これまで,中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者においては,dapagliflozinの血糖降下作用は明らかではなかった。本検討の結果,1週間後に血清クレアチニン値はわずかに上昇し,推算糸球体濾過量はわずかに減少したが,その後は大きな変化を示さなかった。したがって,dapagliflozinが中等度の腎機能障害をさらに悪化させるとの懸念は払拭されたといえる。体重・血圧はdapagliflozin群で減少した。
有害事象では,骨折がdapagliflozin 5mg群で5例,10mg群で8例(プラセボ群では0例)認められたことが注目され,より長期の観察が求められる。【片山茂裕

●目的 中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者において,dapagliflozinの有効性と安全性を検討した。
一次エンドポイントは,ベースラインから24週後のHbA1cの変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,第II/III相,多施設(111施設,アメリカ,アルゼンチン,カナダ,インド,メキシコ,ペルー,イタリア,オーストラリア,フランス,スペイン,デンマーク,プエルトリコ,シンガポール)。
●試験期間 登録期間は2008年6月19日~2009年5月21日,試験期間は104週(24週[短期]+28週[長期]+52週[延長期間])。
●対象患者 252例:中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者。
登録基準:18歳以上,血糖コントロール不良(HbA1c 7.0~11.0%),推算糸球体濾過量30~59mL/分/1.73m2,BMI≦45.0kg/m2
除外基準:アスパラギン酸/アラニン・アミノトランスフェラーゼが正常上限の3倍超,血清総ビリルビン>2.0mg/dL,尿崩症または糖尿病性ケトアシドーシスまたは高浸透圧性非ケトン性昏睡,コントロール不良の高血圧(収縮期血圧≧180mmHgかつ/または拡張期血圧≧110mmHg),登録前6ヵ月以内の心血管疾患/血管疾患の既往,血液透析または腎代替療法を要する患者,急速に進行した腎疾患の既往,ループス腎炎,腎/全身性血管炎,腎動脈狭窄,腎移植,肝疾患。
●方法 対象患者を,登録前に使用していた血糖降下薬(インスリン,スルホニル尿素,チアゾリジンジオン,他)により層別化後,プラセボ群(84例),dapagliflozin 5mg群(83例),dapagliflozin 10mg群(85例)にランダムに割付け。
最初の24週間(短期)は,4~6週目に空腹時血糖値(FPG)>270mg/dL,6~12週目にFPG>240mg/dL,12~24週目にFPG>200mg/dLの場合には,metformin以外の糖尿病治療薬によるレスキュー治療を行った。24週間の治療を完遂した患者は,さらに28週間(長期)治療を継続し,HbA1c>8.0%の場合にはレスキュー治療を行った。52週間の治療を完遂した患者は,さらに52週間(延長期間)の治療を継続し,52~76週目に>7.5%,76~104週目に>7.0%の場合にはレスキュー治療を行った。
●結果 一次エンドポイントであるベースラインから24週後のHbA1c値の変化は,dapagliflozin 5mg群(-0.41±0.17%),10mg群(-0.44±0.17%)ともにプラセボ群(-0.32±0.17%)との有意な差を認めなかった(それぞれp=0.561,p=0.435)。
ベースラインから24週後のFPG値は,dapagliflozin 5mg群(-5.2±9.55mg/dL),10mg群(-0.6±9.52mg/dL)ともに,プラセボ群(+8.4±9.62mg/dL)に比べて大きく減少した。体重はdapagliflozin 5mg群,10mg群ともに減少したが(-1.54kg,-1.89kg),プラセボ群では増加した(+0.21kg)。
血清クレアチニン値のベースラインからの平均変化は,1週間後にdapagliflozin 5mg群(+0.13mg/dL),10mg群(+0.18mg/dL)ともに増加し,その値は104週以降まで変わらなかった。推算糸球体濾過量の平均変化も同様の傾向を示し,1週間後には減少したがその値は長期間にわたって変わらなかった。収縮期血圧および拡張期血圧は,dapagliflozin 5mg群,10mg群ともに,プラセボ群に比べて低下した。
全有害事象および重篤な有害事象の発生は,全群で同程度であった。血清電解質の異常はどの群でも見られず、高カリウム血症の頻度はdapagliflozin 群でプラセボ群より少なかった。
●結論 中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者において,dapagliflozinは血糖コントロールを改善しなかったが,体重および血圧を低下させた。