編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Nakatani S, Ishimura E, Naganuma T, Nakatani A, Ichii M, Fukumoto S, Mori K, Emoto M, Nakatani T, Inaba M: Poor glycemic control and decreased renal function are associated with increased intrarenal RAS activity in Type 2 diabetes mellitus. Diabetes Res Clin Pract. 2014; 105: 40-6. [PubMed]

これまでに,尿中のアンジオテンシノーゲンの排泄量は腎内のRAS活性を反映することが,アンジオテンシンII依存性高血圧モデルラットで示されてきた。また,ヒトの慢性腎臓病(CKD)患者でも尿中のアンジオテンシノーゲンの排泄量が高値であると報告されてきた。
今回の検討は,腎症のない2型糖尿病患者における血糖コントロール不良は腎臓内のRAS活性を有意に亢進させること,また腎症のある2型糖尿病患者においては腎機能の低下は腎臓内のRAS活性と有意に関連することが示された。高血糖が腎臓内のRAS活性を高める機序や,亢進した腎臓内RAS活性がどのように腎機能の低下を惹起するのか,あるいは腎機能の低下が腎臓内RAS活性をさらに亢進させるのかなど,さらなる検討が必要である。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,腎臓内のレニン-アンジオテンシン系(RAS)の活性を評価し,臨床パラメータとの関連を検討した。
●デザイン 横断研究,単施設(日本)。
●試験期間 登録期間は2013年(腎症を伴わない2型糖尿病患者の登録は,2013年1~10月)。
●対象患者 【プロトコル1】
腎症のない2型糖尿病患者25例。
対照は腎症も2型糖尿病もない14例。
登録基準:推算糸球体濾過量(eGFR)≧60mL/分/1.73m2,アルブミン・クレアチニン比<30mg/g。
【プロトコル2】
2型糖尿病のある慢性腎臓病(CKD)患者46例。
2型糖尿病のないCKD患者11例(高血圧性腎症5例,IgA糸球体腎炎2例,不明4例)。
登録基準:eGFR<60mL/分/1.73m2またはアルブミン・クレアチニン比≧30mg/g。
●方法 腎臓内のRAS活性は,尿中アンジオテンシノーゲンにより評価し,臨床パラメータ(年齢,HbA1c,アルブミン・クレアチニン比,収縮期血圧,eGFRなど)との関連を検討した。
●結果 【プロトコル1】
腎症のない2型糖尿病患者では対照にくらべ,尿中アンジオテンシノーゲン・クレアチニン比が有意に高かった(4.70±2.22 vs. 8.31±5.27μg/g,p=0.037)。腎症のない2型糖尿病患者において,臨床変数と,対数変換尿中アンジオテンシノーゲン・クレアチニン比との関連をsimple線形回帰分析により検討した結果,年齢(r=0.632,p=0.007),HbA1c(r=0.405,p=0.027),空腹時血糖(r=0.583,p=0.003)と有意に関連した。
【プロトコル2】
尿中アンジオテンシノーゲン・クレアチニン比は,2型糖尿病のあるCKD患者と2型糖尿病のないCKD患者で有意な差はみられなかったが(22.7±27.8 vs. 33.5±40.8μg/g,p=0.740), CKDのない患者にくらべると有意に高かった。
2型糖尿病のあるCKD患者において,臨床変数と,対数変換尿中アンジオテンシノーゲン・クレアチニン比の関連をsimple線形回帰分析により検討した結果,収縮期血圧(r=0.412,p=0.004),血清クレアチニン(r=0.308,p=0.037),eGFR(r=-0.382,p=0.001),尿中アルブミン・クレアチニン比(r=0.648,p<0.001)は,対数変換後の尿中アンジオテンシノーゲン・クレアチニン比と有意に関連した。
●結論 腎症のない2型糖尿病患者における血糖コントロール不良は腎臓内のRAS活性と有意に関連し,腎症のある2型糖尿病患者における腎機能の低下は腎臓内のRAS活性と有意に関連した。