編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sjöström L, Peltonen M, Jacobson P, Ahlin S, Andersson-Assarsson J, Anveden Å, Bouchard C, Carlsson B, Karason K, Lönroth H, et al.: Association of bariatric surgery with long-term remission of type 2 diabetes and with microvascular and macrovascular complications. JAMA. 2014; 311: 2297-304. [PubMed]

すでにSOSでは,肥満手術が長期的には糖尿病の発症を約80%抑制する(ハザード比 0.17)ことが報告されている。一方,糖尿病の寛解率については,薬物療法では稀であるが,肥満手術では短期的には60~90%と報告されている。しかしながら,肥満手術による長期的な糖尿病の寛解率や糖尿病合併症に関する検討はほとんどない。
今回の検討から,糖尿病の寛解率は2年後には対照群の16.4%に比べ肥満手術群で72.3%と高値(オッズ比13.3倍)であり,10年後,15年後にも38.1% ,30.4%(オッズ比はそれぞれ5.3倍・6.3倍)と高かった。また,糖尿病の細小血管合併症や大血管合併症の発生率も,ハザード比がそれぞれ0.44,0.68と減少したことが明らかにされた。
今後,ランダマイズした比較試験が必要であろうが,肥満例における減量を目指した手術の臨床的意義が高まるものと思われる。【片山茂裕

●目的 肥満の2型糖尿病患者において,肥満手術後の長期糖尿病寛解率,細小血管合併症および大血管合併症の累積発症率を標準治療と比較した。
評価項目は,糖尿病寛解(血中グルコース濃度<110mg/dL,糖尿病薬投与なし),再発,糖尿病合併症。
●デザイン プロスペクティブ,コホート,多施設(スウェーデン,505施設)。
●試験期間 登録期間は1987年9月1日~2001年1月31日。糖尿病評価の追跡期間中央値は,対照群10年,手術群10年。糖尿病合併症評価の追跡期間中央値は,対照群17.6年,手術群18.1年。
●対象患者 603例:SOSに参加した肥満患者4047例のうち,ベースラインの2型糖尿病患者。対照群260例,手術群343例。
採用基準:37~60歳,BMI≧34kg/m2(男性)または≧38kg/m2(女性)
●方法 対照群(標準治療を実施),バンディング術群(61例),垂直帯胃形成術群(227例),胃バイパス術群(55例)。
2013年5月22日までのSOS健康調査で糖尿病の状況を評価。
全国医療登録を用いて,2012年12月31日までの糖尿病合併症についての情報を収集。
2年後,10年後,15年後の参加率は,対照群で81%,58%,41%,手術群で90%,76%,47%。
●結果 2年後の糖尿病寛解率は,対照群16.4%(95%CI 11.7-22.2%),手術群72.3%(95%CI 66.9-77.2%)で,手術群のオッズ比(OR)は13.3(95%CI 8.5-20.7,p<0.001)であった。15年後の糖尿病寛解率は,対照群6.5%,手術群30.4%で,手術群のORは6.3(95%CI 2.1-18.9,p<0.001)。
累積細小血管合併症発生率は,対照群41.8件/1000人・年(95%CI 35.3-49.5),手術群20.6件/1000人・年(95%CI 17.0-24.9)で,手術群のハザード比(HR)は0.44(95%CI 0.34-0.56,p<0.001)。累積大血管合併症発生率は,対照群44.2件/1000人・年(95%CI 37.5-52.1),手術群31.7件/1000人・年(95%CI 27.0-37.2)で,手術群のHRは0.68(95%CI 0.54-0.85,p=0.001)であった。
●結論 肥満の2型糖尿病患者において,肥満手術は標準治療に比し,長期の糖尿病寛解率を上昇させ,合併症を減少させた。