編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gilbert RE, Mann JF, Hanefeld M, Spinas G, Bosch J, Yusuf SGerstein HC, ; ORIGIN trial investigators: Basal insulin glargine and microvascular outcomes in dysglycaemic individuals: results of the Outcome Reduction with an Initial Glargine Intervention (ORIGIN) trial. Diabetologia. 2014; 57: 1325-31. [PubMed]

本論文はORIGIN試験のサブ解析である.。ベースラインのHbA1c値が≧6.4%の場合,標準治療+glargine追加群では標準治療群に比べHbA1cが0.33%低下し,細小血管アウトカムのリスクが10%低下した。しかしながら,ベースラインのHbA1c値が<6.4%の場合は効果が明らかではなかった。
血糖コントロールの閾値(glycemic threshold)があるかどうかについては議論があるが,DCCTやUKPDSでは明らかではなく,ADVANCEでは6.5%と報告されている。本試験では6.4%ということになるが,HbA1c値が<6.4%の患者では,標準治療群と標準治療+glargine追加群でのHbA1c低下度の差は0.22%とさらに小さく,もともと血糖コントロールの良好な患者ではイベント発症率も低いため,検出率が低くなる可能性も除外できない。またglargine以外の他の血糖降下薬を用いた場合にはどうなのかなど,正常血糖に近い患者での血糖コントロールの意義については,まだまだ検討すべき課題も多い。【片山茂裕

●目的 血糖調節異常患者において,細小血管アウトカムに対するインスリン製剤glargineの効果を,ベースラインのHbA1c別に検討した。ORIGIN試験のサブ解析。
●デザイン 無作為化比較試験のサブ解析。
●試験期間 追跡期間は6.2年(中央値)。
●対象患者 12,537例:2型糖尿病,耐糖能異常,空腹時血糖異常で,その他の心血管疾患リスク因子を有する50歳以上の患者。
●方法 ORIGINでは,標準治療群,標準治療+glargine追加群に無作為割り付け。目標空腹時血糖値は≦95mg/dL。
本解析では,ベースラインのHbA1c≧6.4%(中央値)の患者と<6.4%の患者で,細小血管アウトカム(血清クレアチニンの2倍上昇,アルブミン尿の悪化,腎代替療法,腎不全による死亡,網膜光凝固術または硝子体切除術を要する糖尿病網膜症)を比較。
●結果 細小血管アウトカムの発生は2,686例(21%)であった。
glargine追加群における細小血管アウトカム発生率の低下は,ベースラインのHbA1c値が≧6.4%の患者では認められたが(ハザード比0.90,95%CI 0.81-0.99),HbA1c<6.4%の患者ではglargineによる低下を認めず(ハザード比1.07,95%CI 0.95-1.20),有意な相互作用が示された(相互作用のp=0.031)。
ベースラインのHbA1c値が≧6.4%の患者におけるHbA1c中央値の変化は, glargine追加群-0.65%(四分位範囲-0.16 to -0.91%),標準治療群-0.33%(四分位範囲-0.83 to 0.13%)で,群間差は0.33%(p<0.0001)であった。ベースラインのHbA1c<6.4%の患者におけるHbA1c中央値の変化の群間差は0.22%(p<0.0001)であった。
●結論 血糖調節異常患者において,ベースラインのHbA1c値が≧6.4%の場合,空腹時血糖の正常化を目標とした治療によりHbA1cが低下し,細小血管アウトカムのリスクが低下したが,ベースラインのHbA1c値が<6.4%の場合は,効果が明らかではなかった。