編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sone H, Tanaka S, Iimuro S, Tanaka S, Oida K, Yamasaki Y, Oikawa S, Ishibashi S, Katayama S, Yamashita H, et al.; Japan Diabetes Complications Study Group : Long-term lifestyle intervention lowers the incidence of stroke in Japanese patients with type 2 diabetes: a nationwide multicentre randomised controlled trial (the Japan Diabetes Complications Study). Diabetologia. 2010; 53: 419-28. [PubMed]

わが国を代表する,大規模前向き臨床試験である。
このトライアルでの介入は強化生活介入であり,薬物を使用していないことが特徴である。HbA1cをはじめ各種検査結果に,強化生活介入群と対照群に差がないにもかかわらず,強化生活介入群で,脳卒中の発症が有意に低下したことは注目に値する。
しかしながら,両群で解析に用いられたのは参加者の6割であり4割が解析対象外となっていること,検査値に差がないにもかかわらず脳卒中が減少する機序についてさらなる研究やデータ蓄積が必要であること,を鑑みて本研究の結果を日常臨床にフィードバックする必要がある。【西村理明

●目的 糖尿病患者において,生活習慣改善のための治療的介入は,血管合併症の発症を抑制するか否かを検討した。
一次エンドポイントは,細小血管障害(網膜症,腎症),大血管合併症(CHD[狭心症/心筋梗塞]または脳卒中)。
●デザイン 無作為,オープンラベル,多施設(59施設,日本)。
●試験期間 登録期間は1995年1月~1996年3月,追跡期間は8年(中央値7.8年),生活習慣介入群の介入は2003年3月まで実施。
●対象患者 2型糖尿病患者2,033例(解析対象は1,304例)。
登録基準:40~70歳,HbA1c≧6.5%。
除外基準:狭心症,心筋梗塞,脳卒中,末梢動脈疾患,家族性高コレステロール血症,type III 脂質異常症,非糖尿病性腎症,ネフローゼ症候群,増殖性・前増殖網膜症,眼内手術,血清クレアチニン値>120μmol/L,およびアルブミン排泄率<150mg/gクレアチニン(スポット尿中検査2回の平均値)。
●方法 対象患者を,生活強化介入群(1,017例[解析は681例]),対照群(1,016例[623例])にランダム割付け。
生活強化介入群では,通常のケアに加え,電話または外来受診により,生活習慣改善(食事習慣,身体活動,治療遵守)のための教育を実施した。
●結果 追跡5年後または8年後の時点で,エネルギーまたは脂肪摂取量,喫煙者数は両群で差がなかった。Baecke指数による身体活動量は対照群よりも生活強化介入群で有意に多かったが,余暇または通勤時の身体活動量は群間差がなかった。
追跡期間における一次エンドポイントの発症は,網膜症345件,腎症74件,CHD115件,脳卒中90件であった。
追跡8年後における従来の心血管危険因子のコントロール状態は,血清トリグリセリド値を除いて,BMI,血圧,血糖値,HbA1c,コレステロール値,HDL-C値,およびリポプロテイン値に,有意な群間差を認めなかった。しかし,脳卒中の発症は生活強化介入群で対照群に比べて有意に低かった(5.48件 vs 9.52件/1000人年,多変量調整ハザード比0.62,95%信頼区間0.39-0.98,p=0.04)。
Kaplan-Meier曲線での評価では,脳卒中(p=0.02)を除き,CHD(p=0.40),網膜症(p=0.43),および腎症の発症(p=1.00)については,有意な群間差を認めなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,従来の心血管危険因子に対する生活強化介入の効果は限定的であったが,脳卒中に対する有意な効果が示された。