編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Roumie CL, Greevy RA, Grijalva CG, Hung AM, Liu X, Murff HJ, Elasy TA, Griffin MR: Association between intensification of metformin treatment with insulin vs sulfonylureas and cardiovascular events and all-cause mortality among patients with diabetes. JAMA. 2014; 311: 2288-96. [PubMed]

後向きコホート研究であるが,propensity scoreを用いて患者背景をマッチングさせ,metformin投与中のアドオン治療としてSUとインスリンとでその後の予後が異なるかを検討したものである。
その結果,インスリン治療のほうが心血管イベント発症率が上昇することが明らかとなった。前向き研究においても,インスリン治療が心血管イベントの予防に有用であるというデータはなく,リーズナブルな結果とも考えられる。
インスリンの導入に関しては,ベネフィットとリスクを考慮すべきである。【綿田裕孝

●目的 metformin治療を受けている糖尿病患者を対象に,インスリンまたはスルホニル尿素(SU)を追加した場合の心血管疾患(CVD)発症/死亡までの時間を比較した。
一次エンドポイントは,急性心筋梗塞,脳卒中による入院,全死亡の複合エンドポイント。
●デザイン 後向きコホート研究。
●試験期間 追跡期間中央値は14ヵ月(一次解析は2011年9月まで,死因別死亡解析は2009年9月まで)。
●対象患者 178,341例:2001~2008年にmetformin治療を受けていた18歳以上の退役軍人。
インスリン追加投与例2,948例,SU追加投与例39,990例。
採用基準:退役軍人健康庁で,180日ごとに1回以上の定期的なケアを2年以上受けていた患者。metformin開始前365日間以上のベースラインデータがあり,180日前以内に糖尿病治療薬を使用していない患者。
●方法 傾向スコア(propensity score)により,metformin+インスリン群とmetformin+SU群を1:5にマッチング(マッチング後の症例数は,それぞれ2,436例,12,180例)。ベースライン,時間依存性人口統計データ(time-varying demographics),薬剤,コレステロール値,HbA1c,クレアチニン値,血圧,BMI,併存疾患により調整後,Marginal structural Cox比例ハザードモデルにより各群のアウトカムを比較した。
●結果 平均HbA1cは,metformin+インスリン群8.5%,metformin+SU群7.5%であった。
一次エンドポイントの発生は,metformin+インスリン群172件(42.7件/1000人・年),metformin+SU群634件(32.8件/1000人・年)と有意な群間差を認めた(調整HR 1.30,95%CI 1.07-1.58,p=0.009)。急性心筋梗塞+脳卒中の発生率には有意な群間差を認めなかったが,全死亡は137例(33.7例/1000人・年),444例(22.7例/1000人・年)と有意な群間差を認めた(調整HR 1.44,95%CI 1.15-1.79,p=0.001)。二次エンドポイント(急性心筋梗塞+脳卒中による入院+心血管死の複合)の発生には有意な差を認めなかった(調整HR 0.98,95%CI 0.71-1.34,p=0.87)。
●結論 metformin投与下の糖尿病患者において,インスリンの追加は,スルホニル尿素の追加に比べ,非致死性心血管アウトカムおよび全死亡のリスク増加と関連した。