編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hirakawa Y, Arima H, Zoungas S, Ninomiya T, Cooper M, Hamet P, Mancia G, Poulter N, Harrap S, Woodward M, et al.: Impact of visit-to-visit glycemic variability on the risks of macrovascular and microvascular events and all-cause mortality in type 2 diabetes: the ADVANCE trial. Diabetes Care. 2014; 37: 2359-65. [PubMed]

ADVANCE試験の強化血糖コントロール群のHbA1cと空腹時血糖値のvisit-to-visit variability(VVV)を検討した貴重な成績である。今回のように4,399例という大規模な患者数で,種々のイベントについて解析したはじめての報告である。HbA1cと空腹時血糖値のVVVが増大すると,大血管障害や細小血管障害(HbA1cでは有意ではなかった)や全死亡のハザード比が増加した。空腹時血糖の最大値も大血管障害や細小血管障害と関連したが,HbA1cの最大値は関連を示さなかった。空腹時血糖値のほうがHbA1cよりも,よりよい予測能を有していた。
血糖の変動性は,酸化ストレスや炎症,epigenetic change,膵β細胞の喪失などをもたらすと考えられるが,さらなる検討が求められる。開始後24ヵ月以内にイベントを起こした452例,およびデータ欠測のある720例が除外されているという限界はあるが,いずれにしても,血糖の変動性を最小限に抑えた質の良い血糖コントロールが,血管合併症の発症予防につながるものと考えられる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,外来ごとのHbA1c値および空腹時血糖値の変動と,細小血管イベント,大血管イベント,および全死亡との関連を検討した。
一次エンドポイントは,主要大血管イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中)または主要細小血管イベント(新規腎症/腎症悪化,網膜症)の複合。
二次エンドポイントは,主要大血管イベント,主要細小血管イベント,全死亡。
●デザイン 無作為,factorial,多施設(215施設,20ヵ国[アジア,オーストラレーシア,ヨーロッパ,北米])。
●試験期間 登録期間は2001年11月~2003年3月。追跡期間は,測定期間(24ヵ月)終了から3.0年(中央値)。
●対象患者 4,399例:ADVANCE試験で強化血糖コントロール群に割付けされた2型糖尿病患者。
ADVANCE試験の登録基準:55歳以上,主要な大血管疾患または細小血管疾患の既往,血管疾患のリスク因子を1つ以上有する。
●方法 ADVANCE試験では,対象をperindopril+indapamide合剤群(2mg/0.625mgより投与開始し,3ヵ月後にそれぞれ4mg/1.25mgに増量)とプラセボ群にランダム割付けし,さらに強化血糖コントロール群(目標HbA1c≦6.5%)と標準療法群(現地のガイドラインに準拠)へのランダム割付けも実施された(2 by 2 factorial)。
本解析では,強化血糖コントロール群に割付けされた患者の,外来ごとのHbA1c値および空腹時血糖値の変動を,HbA1cおよび空腹時血糖の5回の測定値(割付けから,3,6,12,18,24ヵ月後)のSDを用いて検討し,10 percentile増加ごとのハザード比(HR)およびp値を算出した。また,SD,variationの係数,variation independent of mean,residual standard deviation,平均real variabilityを,変動性の指標として用いた。HRは,年齢,性別,割付けされた血圧治療群,地域,糖尿病の罹病期間,ベースライン時の喫煙状況,アルコール摂取,収縮期血圧,総コレステロール値,log変換トリグリセリド,BMI,ベースライン時の経口血糖降下薬の使用,ベースライン時のインスリン使用,24ヵ月間における平均HbA1c値/空腹時血糖値により調整。
HbA1cおよび空腹時血糖値のSDの10percentileごとの,10通りのカテゴリー分けによる検討も実施した。
●結果 外来HbA1c値の変動が大きくなると,血管イベントリスクが増加し(p=0.01),全死亡リスクが増加(p<0.001)した。最大変動がみられた患者の,最小変動の患者に対する,血管イベントの多変量調整HRは1.64(95%信頼区間1.05-2.55),全死亡の調整HRは3.31(1.57-6.98)であった。
また外来ごとの空腹時血糖値変動は,血管イベントリスク上昇と関連した(HR 2.70,1.65-4.42)。
外来ごとのHbA1c値の変動は,大血管イベントリスクと正の関連を示し(p for trend=0.02),外来ごとの空腹時血糖値の変動は,大血管イベントおよび細小血管イベントの両方と関連した(それぞれp=0.005,p<0.001)。
感度分析として,標準療法群に割付けされた患者と強化血糖コントロール群に割付けされた患者のHbA1c値の3回の測定によるSD値の影響を比較したところ,差は認められなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,血糖値を一定に保つことは,血管イベントおよび全死亡のリスクを抑制するために重要である。