編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Little SA, Leelarathna L, Walkinshaw E, Tan HK, Chapple O, Lubina-Solomon A, Chadwick TJ, Barendse S, Stocken DD, Brennand C, et al.: Recovery of hypoglycemia awareness in long-standing type 1 diabetes: a multicenter 2 × 2 factorial randomized controlled trial comparing insulin pump with multiple daily injections and continuous with conventional glucose self-monitoring (HypoCOMPaSS). Diabetes Care. 2014; 37: 2114-22. [PubMed]

1型糖尿病における低血糖を認識する能力に関して,インスリンポンプ療法かインスリン頻回注射療法間で差がみられるか,CGMもしくはSMBG使用者間で差がみられるか,この2点につき検討した研究である。
本研究に参加した患者全体においては,低血糖を認識する能力は向上したが,インスリンポンプ療法もしくはインスリン頻回注射療法,CGMもしくはSMBG使用者,それぞれの比較においはその改善度に差を認めなかった。
治療法ではなく,低血糖を起こさないようにすることが,低血糖の認識能力の向上にきわめて重要であることを示したことが,本研究の重要なアウトカムである。【西村理明

●目的 1型糖尿病患者における低血糖を認識する能力の障害改善と重度低血糖予防について,インスリンポンプによる持続皮下インスリン注入とインスリン頻回注射を比較した。さらに補助的に使用したリアルタイム連続血糖モニター(CGM)と従来の自己血糖測定の効果についても比較した。
主要評価項目は,24週後の低血糖認識の差(Goldスコアで評価)。
●デザイン 無作為,多施設(英国),2☓2 factorial。
●試験期間 試験期間は24週。
●対象患者 低血糖を認識する能力の障害を有するCペプチド陰性1型糖尿病患者96例。平均罹病期間29年。
●方法 対象患者を持続皮下インスリン注入群またはインスリン頻回注射群,およびリアルタイムCGM群または自己血糖測定群にランダム化。
全例に,生化学的低血糖(54mg/dL)を回避し,24時間を通してコントロールを維持することを目的とした教育やサポートを実施。
●結果 全患者において,24時間あたりの生化学的低血糖の時間は減少したが(53±63→24±56分,p=0.004),HbA1cの悪化は認めなかった。また,低血糖の認識(Goldスコア)は改善し(5.1±1.1→4.1±1.6,p=0.0001),重度低血糖の年間発生率も低下した(8.9±13.4→0.8±1.8件/人-年,p=0.0001)。
24週後の低血糖の認識について,持続皮下インスリン注入群とインスリン頻回注射群(4.2±1.7 vs 4.1±1.6,群間差0.1),リアルタイムCGM群と自己血糖測定群(4.0±1.7 vs 4.3±1.6,群間差-0.3)に有意差は認めなかった。
群間解析では,重度低血糖年間発生率の低下,低血糖の恐怖,HbA1cが同等の場合のインスリン用量にも有意な群間差は認めなかった。
治療満足度については,持続皮下インスリン注入群はインスリン頻回注射群より高かったが(32±3 vs 29±6,p=0.0003),リアルタイムCGM群と自己血糖測定群では同等であった(30±5 vs 30±5,p=0.79)。
●結論 罹病期間の長い1型糖尿病患者において,インスリン頻回注射と自己血糖測定でも,持続皮下インスリン注入やリアルタイムCGMと同様に,低血糖を認識する能力が改善し,重度低血糖の再発は減少した。HbA1cの悪化は認められなかったが,満足度は持続皮下インスリン注入で高かった。