編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Anderson RJ, Bahn GD, Emanuele NV, Marks JB, Duckworth WC; VADT Study Group : Blood Pressure and Pulse Pressure Effects on Renal Outcomes in the Veterans Affairs Diabetes Trial (VADT). Diabetes Care. 2014; 37: 2782-8. [PubMed]

ACCORD BP試験の結果が報告されて以降,欧米のガイドラインにおける降圧目標値は,ADA(2013)では140/80mmHg未満,ESH/ESC(2013)では140/85mmHg未満,JNC 8では140/90mmHg未満と緩和された。ただ,ACCORD BP試験を含む多くのメタ解析では,心血管では厳格な血圧管理の意義が明らかでないが,脳血管障害については血圧は“the lower, the better”であることが示唆されている。
ADVANCE試験では,実薬による治療群でSBPが110mgHgまで低下してもプラセボ群に比し腎アウトカムが21%減少し,ACCORD BP試験では,厳格治療群(平均119.3mmHg)で標準治療群(133.5mmHg)に比べ微量アルブミン尿が16%減少したことが報告されている。
本報告はVADT試験の腎アウトカムに対する血圧・脈圧の影響をみた事後解析である。SBP≧130mmHgおよびPP>60mmHgがACR悪化と関連したことより,SBPを130mmHg未満に治療することでACR悪化を抑制できる可能性が示唆された。
腎アウトカムについて,血圧は“the lower, the better”であることが再確認された意義は大きい。また,SBP≧140mmHgの患者では,eGFRの悪化を防ぐために血糖管理が重要なことが示されたことも臨床的に重要なメッセージであろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP)および脈圧(PP)は,腎アウトカム(アルブミン・クレアチニン比[ACR],推算糸球体濾過量[eGFR])と関連するかどうかを検討した。
●デザイン 無作為化比較研究(VADT)のpost hoc解析。
●試験期間
●対象患者 1,791例(ACRの検討は1,386例,eGFRの検討は1,670例):2型糖尿病の退役軍人。平均60.4歳,BMI 31 kg/m2,HbA1c 9.4%,糖尿病罹病期間11.5年。
●方法 血圧(SBP<105mmHg,105~129mmHg[対照],130~139mmHg,および≧140mmHg,DBP<70mmHg,70~79mmHg[対照],≧80mmHg)およびPP(<40mmHg,40~49mmHg[対照],50~59mmHg,≧60mmHg)の値と,腎アウトカム(ACR悪化,eGFR悪化)との関連について検討した。
●結果 ACR悪化リスクは,SBP 105~129mmHgにくらべ,SBP 130~139mmHg(HR 1.88,95%信頼区間1.28-2.77,p=0.001)およびSBP≧140mmHg(HR 2.51,1.66-3.78,p<0.0001)で有意に増加した。ACR悪化とDBP値との関連は認められなかった。ACR悪化リスクは,PP 40~49にくらべ,PP<40で有意に低く(HR 0.36,0.15-0.87,p=0.02),PP≧60では有意に増加した(HR 2.38,1.58-3.59,p<0.0001)。
eGFR悪化とDBPおよびPP値との関連は認められなかった。しかしながら,SBP≧140mmHgとHbA1cとの相互関係がeGFR悪化に関連する可能性が認められ,SBP≧140mmHgの患者では,SBP<140mmHgの患者にくらべ,HbA1cが1%増加するごとにeGFRの悪化が15%増加した(HR 1.15,1.00-1.32,p=0.045)。
●結論 SBP≧130mmHgおよびPP>60mmHgは,ACR悪化と関連した。これより,SBPを130mmHg未満に治療することで,ACR悪化を抑制できる可能性が示唆された。