編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Gómez-Ambrosi J, Catalán V, Rodríguez A, Andrada P, Ramírez B, Ibáñez P, Vila N, Romero S, Margall MA, Gil MJ, et al.: Increased cardiometabolic risk factors and inflammation in adipose tissue in obese subjects classified as metabolically healthy. Diabetes Care. 2014; 37: 2813-21. [PubMed]

BMIから規定される肥満であっても,心血管イベント発症リスクの低い人がいるのは間違いのない事実であるが,その肥満をどのように定義すべきかは明らかではない。最近では,いわゆるメタボリックシンドロームのリスクファクターを重複して有していない人を”Metabolic Healthy Obesity”と称し,肥満のなかでも心血管イベントの発症リスクが低いのではないかとの提要もあったが,本研究からその可能性は低いことが示された。その理由のひとつとして,空腹時血糖が正常でも,Metabolic Healthy Obesityの30%近くが耐糖能障害の状態にあることが関与しているのかもしれない。心血管イベントの高リスク群のスクリーニングとしての空腹時血糖の意義に関しては,再考の余地があるかもしれない。【綿田裕孝

●目的 代謝的に健康な肥満(MHO)または代謝的に異常な肥満(MAO)の患者において,耐糖能異常(IGT)および2型糖尿病の罹患率および心血管代謝/炎症プロファイルを比較検討した。
●デザイン 横断研究。
●試験期間
●対象患者 699例:19~73歳の白人。
採用基準:過去3ヵ月以内の体重が安定(±2 kg)。
除外基準:感染の兆候。
●方法 [コホート1]
年齢と社会経済的特徴でマッチングさせたMHOの患者(222例)とMAOの患者(222例),および痩せ型(BMI 18.5~24.9 kg/m2)の対照(255例)において,心血管代謝/炎症プロファイルを比較した。
[コホート2]
コホート1の結果を確認するため,内臓脂肪組織(82例)と肝臓(55例)の脂質プロファイル,および炎症と細胞外マトリックスリモデリングに関連する遺伝子の発現を解析した。
MAOは,心血管代謝異常の基準(血糖値≧100 mg/dLまたは糖尿病治療薬の使用,収縮期血圧≧130 mmHgまたは拡張期血圧≧85 mmHgまたは高血圧治療薬の使用,トリグリセリド値≧150 mg/dLまたはHDL-C[男性<40mg/dL,女性<50mg/dL]または脂質低下薬の使用)を2つ以上を満たすものとした。
●結果 コホート1,コホート2ともに,心血管代謝および炎症プロファイル(CRP,フィブリノーゲン,尿酸,白血球数,肝酵素)は,痩せ型の対照患者にくらべ,MHO,MAOの患者で増加した。
MHOの患者のうち,空腹時血糖検査でIGTまたは2型糖尿病であるとされた患者は,男性では27.1%,5.1%,女性では24.5%,7.1%であった。
コホート2では,古典的な脂質プロファイル(レプチン,アディポネクチン,レジスチン),新規の脂質プロファイル(血清アミロイドA,マトリックスメタロプロテアーゼ)ともに,MHOとMAOの患者でほぼ同様であった。また,炎症および内臓脂肪組織と肝臓のリモデリングに関連する遺伝子発現では,MHOとMAOの患者で同様の変化パターンが示された。
●結論 本研究結果により,MHOおよびMAOの患者では,心血管代謝の有害なプロファイルが同様に存在するというエビデンスが提示された。MHOというコンセプトには注意が必要である。