編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bannister CA, Holden SE, Jenkins-Jones S, Morgan CL, Halcox JP, Schernthaner G, Mukherjee J, Currie CJ: Can people with type 2 diabetes live longer than those without? A comparison of mortality in people initiated with metformin or sulphonylurea monotherapy and matched, non-diabetic controls. Diabetes Obes Metab. 2014; 16: 1165-73. [PubMed]

英国でも米国でも,SU薬により治療される2型糖尿病患者の比率が低下し,metforminによる治療の比率が増加している。ちなみに米国では,SU薬の比率が1997年の61%から2012年には22%に減少し,metforminによる治療の比率は23%から53%に増加した。従来より,SU薬は体重増加や低血糖のリスクがあり,心臓でのKATPチャンネルへの影響などが懸念されてきた。一方,metforminには血糖降下作用に加えて抗癌作用などがあり,死亡率を低下させるのではとの期待があった。
今回,英国のClinical Practice Research Datalinkを使ったmetformin群78,241例とSU群12,222例の大規模な解析が報告された。糖尿病患者におけるmetformin投与例では,生存期間が非糖尿病のmetformin対照群に比べて15%延長し,糖尿病患者におけるSU薬投与例に比べると38%延長していたという驚くべき成績である。ただ,本検討は観察研究であり,追跡期間も平均2.8年と短いものである。このような結果がもたらされた理由が上に述べたようなmetforminのベネフィットによるものなのか,SU薬のデメリットによるものなのか,前向きのRCTによるさらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 糖尿病患者において,一次治療としてのスルホニル尿素薬(SU)単独投与が全死亡に与える影響をmetformin単独投与と比較した。また,各治療について糖尿病患者と非糖尿病患者との比較も行った。一次エンドポイントは全死亡。
●デザイン 後向きコホート研究。
●試験期間 追跡期間は,治療開始から平均2.8年(中央値2.4年)。
●対象患者 2型糖尿病の診断を受け,2000年以降に血糖降下治療(SUまたはmetformin)を受けた患者。metformin群78,241例(非糖尿病の対照78,241例),SU群12,222例(非糖尿病の対照12,222例)。
除外基準:二次性糖尿病。
●方法 Clinical Practice Research Datalinkに登録されたプライマリケア医のデータを使用。
糖尿病患者におけるSU薬投与とmetformin単独投与(対照)の比較,およびSU薬,metforminそれぞれの全死亡に対する影響を糖尿病患者と非糖尿病患者(対照)で比較した。
非糖尿病の対照例は,ベースライン時の年齢(±2歳),性別,プライマリケア医,癌の既往有無,喫煙状況でマッチングさせた。
●結果 追跡期間中の死亡は7,498例であり,未調整全死亡率は,SU群50.9/1000人・年,metformin群14.4/1000人・年(p<0.001)であった。非糖尿病例におけるSU対照群は28.7/1000人・年(p<0.001 vs. 糖尿病のSU群),metformin対照群では15.2/1000人・年(p=0.054 vs. 糖尿病のmetformin群)であった。
糖尿病患者におけるmetformin投与例では,非糖尿病のmetformin対照群に比べて生存期間中央値が15%低く(生存期間比[STR] 0.85,95%信頼区間0.81-0.90),糖尿病患者におけるSU薬投与例に比べて38%低かった(STR 0.62,0.58-0.66)。
●結論 2型糖尿病でmetformin単独投与を開始した患者では,非糖尿病の対照群よりも生存期間が長かった。糖尿病でSU薬投与の患者では,非糖尿病の対照群およびmetforminを単独投与した糖尿病患者に比べて,生存期間が著しく減少した。