編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Chang SH, Wu LS, Chiou MJ, Liu JR, Yu KH, Kuo CF, Wen MS, Chen WJ, Yeh YH, See LC: Association of metformin with lower atrial fibrillation risk among patients with type 2 diabetes mellitus: a population-based dynamic cohort and in vitro studies. Cardiovasc Diabetol. 2014; 13: 123. [PubMed]

糖尿病がAF発症のリスクであることは以前から知られている。本検討は645,710例の2型糖尿病患者からなる台湾のデータベースを対象とし,metforminがAFの新規発症を抑制することを示唆する貴重な観察研究である。その機序として,心筋細胞でmetforminが酸化ストレスを軽減することが示されている。今後,前向きのRCTsでのさらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,metforminは心房細動(AF)発症を抑制するかを検討し(前向きコホート研究,一次エンドポイントはAFの新規発症),さらにmetforminが頻脈刺激誘発性筋融解および心房細胞の酸化ストレスに与える影響を検討した。
●デザイン 前向きコホート研究,横断研究(in vitro study)。
●試験期間 登録期間は1999~2010年。追跡期間は13年。
●対象患者 645,710例:新たに2型糖尿病と診断された患者。平均58.6±17.1歳,男性49.8%。
除外基準:AF診断歴,18歳未満,インスリンまたはmetformin以外の糖尿病治療薬の使用。
●方法 台湾のデータベース(Longitudinal Cohort of Diabetes Patients Database:LHDB)を使用。対象をmetformin使用例(85,198例),非使用例(560,512例)に分類し,metforminとAF発症との関連について解析した。
また,in-vitro解析を実施し,培養HL-1心房筋細胞におけるmetforminの頻脈刺激誘発性酸化ストレス抑制作用,および心房リモデリングへの作用を重鎖ミオシンとトロポニンIの分解により評価した。
●結果 追跡期間中のAF発症は9,983例で,発症率は1.5%(287件/100,000人・年)であった。metformin使用例では,非使用例にくらべ,追跡13年におけるAF累積非発生率が有意に低かった(p<0.001)。年齢,性別,高血圧,うっ血性心不全,慢性腎臓病,喘息,心筋梗塞,脳梗塞,末梢動脈疾患,降圧薬使用,およびスタチン使用により調整後も,metformin使用例では非使用例にくらべ,AF発症リスクが有意に低かった(ハザード比0.81,95%信頼区間0.76-0.86,p<0.001)。
metforminは,ペーシング誘発性筋融解の範囲,および活性酸素種の産生を有意に減少させ,さらに頻脈誘発性酸化ストレスと心房リモデリングを減弱させた。
●結論 2型糖尿病患者において,metforminはAF発症リスクを減少させた。metforminのこの作用は,心房壁の頻脈誘発性筋融解と酸化ストレスが減弱されることによってもたされる可能性が示唆された。