編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Vardarli I, Arndt E, Deacon CF, Holst JJ, Nauck MA: Effects of sitagliptin and metformin treatment on incretin hormone and insulin secretory responses to oral and "isoglycemic" intravenous glucose. Diabetes. 2014; 63: 663-74. [PubMed]

本検討は,DPP-4阻害薬とmetforminというもっとも高頻度に用いられている糖尿病治療薬のインクレチン効果を厳格に調べた興味深い研究である。
その結果,metforminはtotal GLP-1分泌を増加させるが,これはintact GLP-1の増加にはつながらず,したがってインスリン分泌の増加も伴わないことが改めて明らかになった。一方,DPP-4阻害薬投与は,空腹時においてもintact GLP-1とintact GIPを増加させるため,空腹時および静脈内ブドウ糖負荷時のインスリン分泌を増加させる。そのため,isoglycemic静脈内ブドウ糖負荷に対する経口ブドウ糖負荷時のインスリン分泌の増加で表されるインクレチン効果の増加はないことが明らかになった。
DPP-4阻害薬はそもそもインクレチン効果を増強させると考えられ,食後高血糖改善に特化した薬剤と思われていたが,glinideと比較するとそのような薬剤特性ではないことが明らかにされており,本研究はその機序の解明に貢献すると考えられる。【綿田裕孝

●目的 2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬sitagliptin,metformin,およびsitagliptin+metformin併用療法がインクレチンホルモン分泌とインクレチン作用に及ぼす影響を比較した。
●デザイン 無作為,クロスオーバー,二重盲検。
●試験期間
●対象患者 20例:2型糖尿病患者。男性80%,平均59±7歳,BMI 30.6±3.0 kg/m2,HbA1c 7.0±0.6%。
登録基準:血糖降下薬を使用していない者,metformin/スルホニル尿素薬(単剤)を使用中だが試験中は投与中止することに同意する者,30~75歳,BMI 25~35 kg/m2,HbA1c 6.5~9.0%(未治療者),6.0~8.5%(metformin/スルホニル尿素薬を服用中の者),2週間のプラセボrun-in期間前後における空腹時血糖値110~220 mg/dL,男性/妊娠不能な女性(試験期間中に医学的に承認された避妊薬を含む避妊を実施すれば,妊娠可能女性も可)。
●方法 run-in期間後,対象をsitagliptin群,metformin群,sitagliptin+metformin併用群,プラセボ群に無作為に割り付けて各薬剤を6日間投与後,それぞれ4週間(合計3回)のwashout期間を設けて,クロスオーバー。
sitaglitinは100mg/日を投与。
metforminは,500mg/日(day 1)から500mg 1日2回(day 2),500mg 1日3回(day 3),500mg 1日4回(day 4~6)へと漸増投与。
GLP-1とインクレチン作用への影響は,75g経口ブドウ糖負荷(day 5)およびisoglycemic静脈内ブドウ糖負荷(day 6)により評価した。
●結果 空腹時total GLP-1はmetformin投与により有意に増加したが(p=0.0001),sitgliptin投与では変化しなかった(p=0.62)。
経口ブドウ糖負荷後,total GLP-1は,metformin単独群では有意に増加し(+21.7%,p=0.0083),sitagliptin単独群(-53%,p<0.0001)およびsitagliptin+metformin併用群(-46.5%,p=0.0086)では有意に減少し(いずれもvs.プラセボ群),グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)についても同様の結果であった。
intact GLP-1は,空腹時およびブドウ糖負荷後にsitagliptin投与で増加したが,metformin投与では増加しなかった。
インスリン分泌は,経口ブドウ糖負荷後,sitagliptin投与(sitagliptin単独群,併用群)のみで有意に増加した。
インクレチン作用については,いずれの群でも数値的な変化はみられなかった。
●結論 DPP-4阻害薬sitagliptinはintact GLP-1およびGIP分泌を増加させた。また,sitagliptinはインクレチン作用に影響することなくtotal GLP-1およびGIPを減少させた。sitaglitin投与によるインスリン分泌への影響は,経口ブドウ糖負荷およびisoglycemic静脈内ブドウ糖負荷で同様であった。