編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Engelen L, Soedamah-Muthu SS, Geleijnse JM, Toeller M, Chaturvedi N, Fuller JH, Schalkwijk CG, Stehouwer CD: Higher dietary salt intake is associated with microalbuminuria, but not with retinopathy in individuals with type 1 diabetes: the EURODIAB Prospective Complications Study. Diabetologia. 2014; 57: 2315-23. [PubMed]

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一般人を対象に24時間尿でナトリウム排泄量と微量アルブミン尿との関連を調べた成績はいくつかあり,「関連あり」「関連なし」の両方の報告がある。2型糖尿病患者では,スポット尿での検討だが,ナトリウム排泄量と微量アルブミン尿にJ型の関連が報告されている(Hypertens Res. 2012;35:1176-9 [PubMed])。フィンランドの1型糖尿病患者を対象としたコホート研究においても,24時間尿を用いた検討により,ナトリウム排泄量と全死亡にJ型の関連があり,また低ナトリウム群で末期腎不全との関連が認められたことが報告されている(Diabetes Care. 2011;34:861-6 [PubMed])。1型糖尿病における細小血管障害との関連については,質問調査でナトリウム摂取量を推定した検討が1つあるだけで,この検討では黄斑浮腫との関連だけが認められた(Arch Ophthalmol 128:33-9 [PubMed])。
今回の24時間尿を用いた1型糖尿病患者における検討は貴重な成績であり,食事からのナトリウム摂取量の増加により微量アルブミン尿のリスクが上昇し,とくに過体重患者で顕著であったことは,今後の患者指導に有益な情報を提供するといえる。なお,カリウム排泄量は大きな関連が認められなかったが,今後さらに検討を要する。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,ナトリウムおよびカリウム摂取量と微量アルブミン尿,マクロアルブミン尿,非増殖性網膜症,増殖性網膜症の関連を検討した。
●デザイン 横断研究。
●試験期間 登録期間は1989~1991年。
●対象患者 1212例:1型糖尿病患者。男性51%,39.9±9.8歳。
●方法 2日間の24時間尿のナトリウムおよびカリウム濃度を測定し,食事からのナトリウムおよびカリウム摂取量を推定。
ロジスティック回帰解析を用いて,年齢,性別,BMI,喫煙,尿中カリウム排泄,降圧薬,運動量,総エネルギー摂取量,蛋白質摂取量,飲酒量,飽和脂肪酸摂取量,食物繊維摂取量を調整後,食事からのナトリウム摂取量と細小血管合併症の関連を評価。
●結果 すべての変数を調整後,食事からのナトリウム摂取量の1g/日の上昇は微量アルブミン尿との関連が認められたが(調整オッズ比1.06,95%信頼区間 1.01-1.10),マクロアルブミン尿(1.06 0.94-1.05)および非増殖性網膜症(OR 1.00,95%CI 0.96-1.04),増殖性網膜症(1.02, 0.95-1.08)との関連はなかった。
心血管疾患を有する,または降圧薬を投与されている患者(418例)を除外すると,微量アルブミン尿(1.04,0.99-1.10)とマクロアルブミン尿(1.05,0.96-1.16)との関連は消失した。BMI>25kg/m2の患者(1.11,1.04-1.18)は<25kg/m2の患者(1.03,0.97-1.09)に比し,ナトリウム摂取量と微量アルブミン尿に強い関連が認められた。
尿中カリウム排泄量と細小血管合併症に有意な関連は認められなかった。
●結論 1型糖尿病患者において,食事からのナトリウム摂取量の増加により微量アルブミン尿リスクが上昇し,とくに過体重患者で顕著であった。