編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Zoungas S, Chalmers J, Neal B, Billot L, Li Q, Hirakawa Y, Arima H, Monaghan H, Joshi R, Colagiuri S, et al.; ADVANCE-ON Collaborative Group : Follow-up of blood-pressure lowering and glucose control in type 2 diabetes. N Engl J Med. 2014; 371: 1392-406. [PubMed]

血糖コントロールと大血管障害との関係については,1型糖尿病を対象としたDCCT,2型糖尿病を対象としたUKPDSにおいて,試験終了後,約10年間追跡調査が行われた。試験期間中に強化療法に割り付けられた患者は,試験終了後,従来療法に割り付けられた者との間に血糖コントロールレベルに群間差はないにかかわらず,DCCTでは心血管疾患が少なく,UKPDSでは糖尿病関連エンドポイント,細小血管障害,心筋梗塞,全死亡の減少が認められ,それぞれmetabolic memory,legacy effectという表現で,糖尿病発症早期の血糖コントロールの意義を明らかにした。
一方,その後に行われた2型糖尿病対象の臨床試験ACCORD,ADVANCE,VADTでは,血糖コントロールの強化療法には心血管イベントの抑制効果は認められなかった。
DCCTにおける試験参加者の平均年齢は27歳,罹病期間は一次予防群で2.6年,二次予防群で9年であった。UKPDSの参加者の平均年齢は54歳で,新規発症者を対象としている。一方,ADVANCEでは,年齢66歳,罹病期間8年,ACCORDでは年齢62歳,罹病期間10年,VADTでは年齢60.4歳,罹病期間11.5年であった。
本研究では試験終了後に長期間の追跡調査を行ったが,試験期間中の血糖コントロールの利益は認められなかった。おそらく上記のような背景の違いが,血糖強化療法の効果の違いをもたらした大きな要因と推測される。
血圧コントロールに関しては,試験期間中においてもまた試験終了後の追跡観察期間においてもperindopril-indapamide合剤による治療はプラセボよりも優っており,血圧コントロールの有用性を示した。【景山茂】

●目的 2型糖尿病患者において,perindopril+indapamide併用による降圧療法,および強化血糖コントロール療法の長期効果を検討した。ADVANCEの追跡研究。
一次エンドポイントは全死亡,大血管イベント(非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心血管死の複合)。
●デザイン 追跡研究(元試験は,ADVANCE[無作為,2×2 factorial,215施設,20ヵ国]),intention-to-treat。
●試験期間 試験開始は2010年1月,追跡調査は2013年1月1日~2014年2月28日。
全追跡期間中央値は,降圧療法9.9年(元試験4.4年+元試験終了後5.9年),血糖コントロール療法9.9年(5.0年+5.4年)。
●対象患者 11,140例:元試験参加者。元試験終了時の生存者は8,494例。
降圧療法群5,569例(生存者4,278例),プラセボ群5,571例(4,216例),強化血糖コントロール群5,571例(4,283例),標準血糖コントロール群5,569例(4,211例)。
元試験の登録基準:55歳以上,2型糖尿病,心血管疾患危険因子を1つ以上有する者。
●方法 元試験では,6週間のrun-in後,降圧療法群(perindopril 4mg+indapamide 1.25mg合剤)またはプラセボ群にランダム化し,さらに強化血糖コントロール群(gliclazideベース,目標HbA1c値≦6.5%)または標準血糖コントロール群(目標HbA1c値は現地のガイドラインに準拠)にランダム化(2×2 factorial)。元試験終了後は血圧および血糖の管理は通常の治療により行った。
●結果 元試験でみられた降圧療法による降圧効果(平均群間差5.6/2.2 mmHg,p<0.001),および強化血糖コントロールによる血糖降下作用(HbA1cの平均群間差0.67%,p<0.001)は,元試験終了から6ヵ月後には,ともに消失した。
プラセボ群に対する降圧療法群の全死亡抑制効果(元試験ハザード比[HR] 0.86[0.75-0.98,p=0.03]→追跡研究HR 0.91[0.84-0.99,p=0.03]),心血管死抑制効果(HR 0.82[0.68-0.98,p=0.03]→HR 0.88[0.77-0.99,p=0.04])ともに減弱したものの,有意性は保たれていた。大血管イベント(HR 0.92[0.81-1.04]→HR 0.92[0.85-1.00,p=0.06])は,境界ラインの有意性となった。
血糖コントロールに関しては,元試験,追跡研究ともに,全死亡(追跡研究HR 1.00,0.92-1.08),大血管イベント(HR 1.00,0.92-1.08),心血管死(0.97,0.86-1.10)のいずれも有意な群間差を認めなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,元試験での降圧療法(perindopril 4mg+indapamide 1.25mg合剤)による死亡リスク低減効果は弱まったものの,追跡研究終了時にも維持されていた。全死亡および大血管イベントに対する強化血糖コントロールの長期効果は認められなかった。