編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Li Y, Hu Y, Ley SH, Rajpathak S, Hu FB: Sulfonylurea use and incident cardiovascular disease among patients with type 2 diabetes: prospective cohort study among women. Diabetes Care. 2014; 37: 3106-13. [PubMed]

女性を対象とした疫学研究のなかでも有名なNurse’s Health Studyにおいて,2型糖尿病患者へのSU薬投与の有無ならびに期間が,心血管疾患の新規発症と関連しているか否かを,約5000例の前向き研究にて評価した報告である。その結果,SU薬の使用かつ使用期間が長いことが,冠動脈疾患の有意な危険因子であることが示された。しかしながら,脳卒中とは関連がみられなかったことも示された。
男性に比べ心血管疾患のリスクが低い女性においてもこのような知見が得られたということは,男性の糖尿病患者においてもSU薬の使用にはより慎重にならざるを得ないことになる。
またSU薬は,心筋プレコンディショニングに影響して冠動脈疾患のリスク増加に関連する可能性のある薬物と,まったく無関係な薬物とに二分されるが,本論文では使用されているSU薬の種類については検討されていない。この点について今後,追加解析などで検討が行われることを希望したい。【西村理明

●目的 2型糖尿病の女性において,スルホニル尿素(SU)薬使用と心血管疾患(CVD)発症の関連を検討した。
●デザイン コホート研究。
●試験期間 登録期間2000~2005年,2010年6月30日追跡終了。
●対象患者 4902例:CVDのない糖尿病女性。平均68歳,平均罹病期間11年。
●方法 ベースラインと10年後までのSU薬および他の薬剤の使用を質問票により評価した。
Cox比例ハザード回帰モデルを用いて,潜在的交絡因子(年齢,罹病期間,糖尿病関連合併症,他の血糖降下薬,BMI,生活習慣因子,CVD家族歴,慢性疾患)を調整後,SU薬使用によるCVD発症の相対リスク(RR)を算出した。CVDは,非致死的心筋梗塞,冠動脈心疾患(CHD)死,脳卒中とした。
また,傾向スコア層別化法により,残存する交絡の影響についても評価した。
●結果 追跡期間(5~10年)のCVD発症は339例(CHD 191例,脳卒中148例)であった。
SU薬使用期間の延長はCHDリスクを有意に増大させ,SU薬非使用患者に対する使用期間1~5年の患者におけるCHDのRRは1.24(95%信頼区間 0.85-1.81),6~10年では1.51(0.94-2.42),>10年では2.15(1.31-3.54)であった(p for trend=0.002)。傾向スコア層別化法を用いた解析でも同様の結果であった。
SU薬+metformin(ビグアナイド薬)併用患者はmetformin単独患者に比し,CHDリスクが増大した(RR 3.27)。
SU薬使用と脳卒中リスクの有意な関連は認められなかった。
●結論 2型糖尿病の女性において,SU薬の長期使用はCHDの発症リスクを増大させることが示唆された。